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メンズリブ書でありフェミニズム書でもある、杉田俊介氏著『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち』:勝手に新書-12

少しずつ、よくなる社会に・・・

今回の<勝手に新書シリーズ>は、タイトルが気になって入手した、杉田俊介氏著『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち』(2021/9/22刊・集英社新書)です。

実は、2050年の望ましい日本社会創造のためには、政治改革が必須と考えており、多面的な視点から、https://2050society.com というウエブサイトを運営しています。
そして、従来の政治の変革は、既存政党・政治グループでは絶対ムリとし、そのブレイクスルーには、女性主体政党が創設され、政治行政変革に影響を与える勢力を形成することが、困難でも、最も可能性を持つ方法と考え、提案しています。

男性・女性という性別区分では、ほぼその数が等しいわけで、それぞれがマジョリティグループを形成できる故です。
従来のフェミニズム論、ジェンダー論ではマイノリティとして固定的に認識・評価している女性も、その総数を考慮すれば、マジョリティでもあることは自明です。
しかし、固定観念で女性=マイノリティ、という一般的議論は、本書でテーマとするマジョリティを形成する男性グループにおいても、実は、個々の多面性に着目すれば、多様なマイノリティで構成しているとみなすこともできる。
本書の主眼の一つは、そこにあると読み取ることができるのです。

タイトルだけからイメージすると、マーケティング的な書という感覚を持つのですが、実は、フェミニズム論・ジェンダー論書であり、思想書であり、文化論であり、多様で非常に重厚な書と言えると思います。
文中で何度も用いられている「多文化共生」論書と表現するのも良いかなと思います。

以下に、本書の構成を記しました。

マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か #MeTooに加われない男たち』構成

まえがき
第1章 多数派の男たちは何をどうすればいいのか
 ・多数派の男たちは何をどう考えていくべきなのか?
 ・自分を変える、社会を変える
 ・「何が差別なのか、この私にはわからない」からはじめる
 ・構造的問題としてのミソジニー
 ・マジョリティ問題としての男性問題
 ・マジョリティであり続けることのコスト
 ・マジョリティはいかにして変わりうるか
第2章 ヘテロ男性とは誰のことか
 ・性別・性差・性役割
 ・肉体的性別・性自認・性的指向
 ・ホモセクシャル・ゲイ・レズビアン
 ・性同一障害・トランスセクシャル・トランスジェンダー
 ・クィアとは誰か
第3章 『マッドマックス 怒りのデス・ロード』を読み解く
 ・男性たちの惨めな零落とシスターフッド
 ・マックスにはなぜ居場所がないのか
 ・マックスにとって自由とは何か
第4章 ヘテロ男性は変わりうるか ー複合差別時代の男性学
 ・交差的な複合差別を解きほぐす
 ・ブラックフェミニズムと「自らの内なる敵」
 ・多文化共生時代のジレンマ
 ・トランスフォビアとトランスフェミニズム
 ・グローバルな「被害者意識」に抗して
 ・保守的・リベラル・questioning
 ・マジョリティ・メンズリブ
第5章 『ズートピア』を読み解く
 ・複合差別時代のユートピア?
 ・ユートピアの中の性差別・性暴力
 ・傷つけられた者たちによる友愛
 ・来るべき未来のリベラルユートピアへ
第6章 多数派の男たちにとってまっとうさとは何か
 ・有害で有毒な男性性?
 ・男にとって「傷つけられやすさ」とは何か
 ・正しさ・まっとうさ・社会正義
第7章 男たちはフェミニズムから何を学ぶのか
 ・リベラル・ソーシャル・ラディカル ーフェミニズムの三項図式
 ・ジェンダー論は進化=深化する ー自己発展としてのフィミニズム
 ・ラディカル・フェミニズム再興
 ・ラディカル・メンズリブのために
第8章 ポストフェミニズムとは何か
 ・ポストフェミニズムとネオリベラリズム
 ・ポピュラーでセレブリティで企業的なフェミニズム
 ・ポストフェミニズムと第三波フェミニズム
 ・多数派男性にとっての#MeTooとは何か
 ・女性たちの内側の階級問題
第9章 剥奪感と階級 ー『ジョーカー』を読み解く
 ・『ジョーカー』にとって男性性とは何か
 ・マジョリティたちの剥奪感と「深層の物語」
 ・「九九%」のためのフェミニズム
 ・階級闘争としてのメンズリブ
第10章 複合階級論に向けて ーラディカル・メンズリブのために
 ・階級映画かデフレ映画か ー『パラサイト 半地下の家族』
 ・階級闘争とフェミサイド ー『バーニング 劇場版』
 ・複合差別時代のミソジニー ー『ワンス・ア・ポンナ・タイム・イン・ハリウッド』
 ・複合差別時代の黒人差別 ー『アス』
 ・『トイ・ストーリー4』をメンズリブから読み解く
 ・『トイ・ストーリー4』のアナキズム
 ・アナキーとしてのメンズリブへ ー『万引き家族』と『わたしは、ダニエル・ブレイク』
あとがき 


もう一つの特徴が、この構成でも分かるように、多数の映画が本書の主張の、ある意味、骨格をなすかの質量で引用されていることです。
それが<文化論>としている理由でもあります。

いずれにしても、後日、この多様で興味深い書を参考に、多面的に考察し、政治・社会保障・社会問題等の観点から論じる機会を持ちたいと考えています。

<勝手に新書>とは

 昔、アパレル・チェーンストア企業に勤務し人事・能力開発担当だった頃、市販のアパレル通信教育プログラムと自分で作成開発した自企業社員向け教育プログラムを一体化して活用。
 そのための添付作成した副教材のコラムに<勝手に新書>と題して、自己啓発用に1冊ずつ新書を紹介しました。
 そのタイトルに少し手を加えて、40数年ぶりに復活させて、これからネットで注文したての新書を中心に当サイトにメモ書きしていくシリーズです。
 新書でない場合もあるのでその場合は選書。
 今回は、ハードカバー書。
 いずれにしても新刊書中心なので、新鮮書、というわけです。
 と初めは「しん・せん書」と言っていましたが、意味不明気味なので、単純に「新書」と一本化しました。
 今回はその第12回です。

                       少しずつ、よくなる社会に・・・

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