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この社会経済システム改革に必要な何かがまだ描けていない。山口薫氏著『公共貨幣』『公共貨幣入門』:勝手に真剣書ー17

少しずつ、よくなる社会に・・・

一昨日、5月に入手し読み終えた『物価とは何か』(渡辺努氏著・2022/1/11刊・講談社選書メチエ)を以下で紹介しました。

ベーシック・ペンション理論付けに少しは役立つか?渡辺 努氏著『物価とはなにか』:勝手に新選書ー16(2022/6/1)

その目的は、提案している日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金制度導入の理論的根拠、妥当性を、インフレ、デフレ等の発生リスクの軽減・抑制等の側面から「物価」と同制度とを関連付けて考えてみたかったからです。

山口薫氏著『公共貨幣』(2015/9/24刊・東洋経済新報社)


その延長線上で、絶対に入手し、理解しておくべきと考え、同様5月に入手したのが「公共貨幣」についての書。
そのために最適な書としてかねてから選択していたのが、既に発刊から7年近く経っている、山口薫氏著『公共貨幣』(2015/9/24刊・東洋経済新報社)。
定価が3,800円とそれなりの価格がついており、できれば中古書で入手をと考え、かつ5月入手・同月読了、6月ベーシック・ペンション専門サイト http://basicpension.jp で考察・活用というスケジュールを想定。
運良く、そのスケジュール通りに進み、先行して、ここで紹介することになりました。

以下に、本書の構成を。

公共貨幣』の構成

はじめに
第Ⅰ部 債務貨幣システム
第1章 経済学とは何か

 1.3つの経済学:バークレーでの挑戦
 1.1 アロー・ドブルーモデル
 1.2 新古典派経済学のエッセンス
 1.3 経済思想のモデル
 2.「むらトピア経済」の誕生
 2.1 トフラー『第三の波』の衝撃
 2.2 むらトピア経済
 3.システムダイナミックスとの出会い
 3.1 会計システムダイナミックス
 3.2 バークレーからの再挑戦
 4.リーマンショック
 4.1 歴史は繰り返された
 4.2 ゾンビ経済学
 4.3 経営学のタブー
 4.4 孫悟空と釈迦の手 
第2章 お金とは何か
 1.ことわざに見るお金
 1.1 価値尺度情報
 1.2 交換手段
 1.3 価値保蔵
 1.4 権力の支配
 2.貨幣の定義
  2.1 ストック・フロー図でみるお金の流れ
2.2 教科書による定義
  2.3 アリストテレスの定義
3.法貨 Legal Tender
 3.1 政府貨幣⇒制限付き法貨
 3.2 日本銀行券⇒無制限法貨
 3.3 マネタリーベース=法貨
 3.4 米国の法貨
第3章 日本銀行は必要か
 1.日本銀行は民間会社
 2.日銀に出資するメリット
 3.日本銀行のビジネスモデル
  3.1 日銀の収入源
  3.2 税金から利息を収奪
 4.不可解な剰余金処分
  4.1 剰余金(利益)隠し
  4.2 国債利息計算の丸投げ
  4.3 民間出身者への剰余金配当
第4章 お金はなぜ無から創られるのか
 1.預金は法貨なのか
 1.1 日銀のマネーストック定義
 1.2 預金は通貨(法貨)ではない
 1.3 無から創られる預金
 2.信用創造のメカニズム
  2.1 教科書が教える部分準備銀行制度  
  2.2 銀行貸出が預金(信用)を創る
  2.3 預金は誰のもの
第5章 お金はなぜ支配の手段となるか
 1.「金が金を儲ける」
 2.複利計算の驚異と恐怖
  2.1 指数的成長と倍増(半減)時間
  2.2 借金地獄の恐怖
 3.権力の支配手段
  3.1 支配の質的構造変化
  3.2 「グローバル企業支配のネットワーク」
  3.3 支配の階層 Sphere of Influence
 4.債務貨幣・株式所有システムの振る舞い
第6章 国の借金はなぜ増え続けるのか
 1.借金地獄の日本
  1.1 ジャパンアズナンバーワンの難破
  1.2 消費増税8%でも借金は増大!
1.3 政府債務簡素SDモデル
  1.4 長期債務残高のシミュレーション
  1.5 消費増税で借金増大、なぜ?
  1.6 借金返済で金が消える!
  1.7 財政健全化のシミュレーション
 2.米国の債務危機
 3.OECDの債務危機
 4.3つの破局シナリオ
第7章 債務貨幣システムはデット・エンドだ
 1.債務危機回避のシミュレーション
 2.債務増大はストップできるが・・・
  2.1 歳出を10%削減
2.2 消費税を5%から10%に引き下げ
 3.「財政の崖」から転落する
 4.泣き面に蜂
 
第Ⅱ部 公共貨幣システム
第8章 シカゴプラン(貨幣改革)とは何か

 1.レバレッジ・ポイントを探せ
 2.シカゴプランの誕生
 2.1 1929年の株価大暴落と銀行休日
 2.2 「銀行改革のためのシカゴプラン」
 2.3 フレデリック・ソディ(ノーベル化学賞)
 2.4 グラス・スティーガル法
 3.フィッシャーの「シカゴプラン」
 3.1 大恐慌の債務 ー デフレ理論
 3.2 100%準備システム
 3.3 100%準備システムがもたらす利点
 3.4 1935年改訂銀行法の攻防
 3.5 「貨幣改革のためのプログラム」
 3.6 フィッシャー晩年の挑戦
 4.ケインズの一般理論
 4.1 雇用・利子および貨幣の一般理論
 4.2 ケインズとシカゴプラン
 5.闇に葬られたシカゴプラン
 5.1 ミルトン・フリードマンのシカゴプラン
 5.2 タブーとなったシカゴプラン
 5.3 グラス・スティーガル法の廃案
第9章 公共貨幣システムの誕生
 1.システムデザイン
 1.1 米国貨幣法モデリング3部作
 1.2 「公共貨幣」の概念
 1.3 米国議会ブリーフィング
 2.「貨幣とマクロ経済ダイナミックス」の出版
 3.公共貨幣システムと貨幣の流通
 3.1 公共貨幣システムの特徴
 3.2 公共貨幣と銀行貸出
第10章 国の借金は完済できる
 1.債務完済のレバレッジ・ポイント
 2.債務完済のシミュレーション
 3.債務完済でインフレにならないの?
 4.万能薬ではないが
 5.公共貨幣政策
第11章 公共貨幣で輝く未来
 1.公共貨幣システムの構築
 2.公共貨幣vs.債務貨幣システム
 2.1 システム構築の比較
 2.2 システム構築の振る舞い比較
 3.政府債務完済の幸運を活かす
 3.1 デット・エンドの終焉
 3.2 民の活力を取り戻す
 3.3 経済基盤に活力を与える
 4.公共貨幣システムの応用
 4.1 寡占化は防げるのか
 4.2 女性にメリットはあるのか
 5.新生むらトピア経済
 6.レバレッジ・ポイントを誤るな!

第Ⅲ部 公共貨幣システムへの移行
第12章 公共貨幣システムへの移行モデリング

 1.貨幣改革タブーの崩壊
 1.1 ロン・ポール議員の連銀批判
 1.2 クシニッチ議員のNEED法案
 1.3 IMF論文「シカゴプラン再考」
 1.4 ターナー卿の公的貨幣ファイナンス(OMF)
 1.5 170年ぶりの英議会ディベート
 1.6 スイスの貨幣改革国民投票イニシアティブ
 2.債務貨幣システムから
 3.量的緩和(QE)の失敗を経て
 3.1 異次元の金融緩和
 3.2 マネーストックはなぜ増えない?
 3.3 現金をなぜばらまかないのか?
 4.公共貨幣システムへの移行
 4.1 移行(Transition)目標
 4.2 移行Transitionステップ
 5.120%のみんなが幸せに
 5.1 分割・支配統治の終焉
 5.2 100%のみんなを愛で包み
 5.3 大和の心で120%のみんなが幸せに
第13章 日本国公共貨幣法
 1.公共貨幣法の概観
 2.公共貨幣法メイキングのポイント
 3.日本国公共貨幣法
付録A 米国貨幣法
おわりに


かなりハードな感じがします。
一応、どんなことが書いてあるか、主な主張はどういうことか、斜め読みを終えました。


・山口薫・山口陽恵氏著『公共貨幣入門』(2021/10/12刊・集英社インターナショナル新書)

そして幸運なことに、同書を探していた折に知ったのが、山口薫氏により昨年2021年に、山口陽恵氏との共著の形で、新書として『公共貨幣入門』(2021/10/12刊・集英社インターナショナル新書)が発刊されていたこと。
やはり、先著から5年以上経っているので、その間の新しい研究内容や、社会経済状況の変化などを反映した、できるだけ新しい書を参考にできたほうが良いことは当然です。
急ぎ、前書購入と同様、5月に入手し、現在読み進めているところです。


こちらもその構成を。

公共貨幣入門』の構成

はじめに貨幣の定義ありき
第1章 債務貨幣システムと「失われた30年」
1.あなたのお金は誰かの借金
2.銀行貸出と預金創造
3.債務総額の内訳と日本経済の驚きの事実
4.日本経済の失われた30年
5.バブルの根本原因とその教訓
6.借金地獄と3つの破綻シナリオ
第2章 主流派経済学の破綻
1.市場原理主義の新古典派経済学
2.外生的債務貨幣を想定するケインズ経済学
3.主流派IS-LM理論の破綻
4.IS-LM理論のパラダイムシフト
第3章 MMTは債務貨幣のデザイン欠陥を隠蔽
1.貨幣理論を分類すれば4つしかない
2.MMTは虚偽の貨幣論
3.MMTの「就業保障プログラム」は対症療法
第4章 公共貨幣システムへの移行
1.システムの移行目標
2.移行の7プロセス
3.公共貨幣システムの新経済風景
第5章 公共貨幣で新国生みイニシアティブ
1.公共貨幣への移行:2つの登山道
2.新国生みイニシアティブの5大プログラム
3.プログラムのシステム思考

こちらの方が、親しみ?を感じます。
「入門」となっていますが、先にハードな書を読んでいるので、新しい内容も含んでおり、順番的にも、内容的にもちょうど良かったなと思いつつ、毎日少しずつ読み進めています。

「公共貨幣」への関心と期待の理由


この「公共貨幣」書を必要としたのは、提案するベーシック・ペンションでは、財源は、税や保険料にまったく依存せず、国(もしくは改革した日銀が)発行するベーシック・ペンション専用のデジタル通貨ですべての国民に、無条件・無拠出で支給する方式であること。
そして、年間の支給総額=専用デジタル通貨発行額が100~200兆円規模を想定していること。
それらを可能とする、社会経済システムの理論的根拠の一部として「公共貨幣」概念及び理論を用いることを考えている故です。

本書で、前著ではなかったMTT批判を筆者は行っています。
私も、MMTはしっくりきていないので、こちらの入門編で取り上げているので、この際しっかり確認したいと思います。

いずれにしても、2冊でかなりのボリュームになることもあり、早くて来週あたりから、まず部分部分を参考に用いながら、http://basicpensin.jp の方で考察し、活用していければと考えています。

「この社会経済システム改革に必要な何かがまだ描けていない」
表題にこの文言を加えました。
現在2冊目<入門>の第3章MMTに入っているところですが、1冊目とここまでで、漠としてですが感じていることです。
経済システムの面に<社会システム>性をいかに理解しやすく加えるか。
その視点が弱いためではないかと、感じつつ読み進めているためかと・・・。

山口 薫氏プロフィール(新書より)

国立アンカラ社会科学大学(トルコ)大学院教授、公共貨幣フォーラム代表理事
カリフォルニア大学バークレー校経済学博士号(1985年)
カリフォルニア州立大学、サンフランシスコ大学、ハワイ大学、同志社大学大学院ビジネス研究科等で教鞭

山口陽恵氏プロフィール(新書より)

日本未来研究センター研究員(システムダイナミックスグループ)、公共貨幣フォーラム理事
EUのエラスムス・ムンドゥス修士号(EMSD2017年)
フィンテック企業・ソラミツ(貨幣・経済システム研究所所長)経て現職


<勝手に真剣書>とは

 昔、アパレル・チェーンストア企業に勤務し人事・能力開発担当だった頃、市販のアパレル通信教育プログラムと自分で作成開発した自企業社員向け教育プログラムを一体化して活用。
 そのための添付作成した副教材のコラムに<勝手に新書>と題して、自己啓発用に1冊ずつ新書を紹介しました。
 そのタイトルに少し手を加えて、40数年ぶりに復活させて、これからネットで注文したての新書を中心に当サイトにメモ書きしていくシリーズです。
 新書でない場合もあり、選書やハードカバー書の場合も。
 なので新刊選書の場合は、新選書、ということも。
 今回の第17回は、選書よりも大判の1冊と新書1冊。
 記事中に述べましたが、ベーシック・ペンションの理論的支柱にできる内容かどうか、利用するとすればどのように改善応用するか、かなり真剣に取り組むべき書ゆえに、敢えて「真剣書」と表現したわけです。

                       少しずつ、よくなる社会に・・・

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