
世代を引き継ぐ看取り・見送り、自身の終活を考える機会:100歳義母、看取り・見送り体験記-7(総括)
少しずつ、よくなる社会に・・・

◆ 特養入所の100歳の義母を看取り、見送った1ヶ月:介護、お葬式・火葬、お墓、相続、納骨等終活関連体験記を(2022/9/16)
この記事を受けて開始した「100歳義母、看取り・見送り体験記」シリーズ。
<第1回>:特養における看取り介護から看取り、お別れ・退居まで:100歳義母、看取り・見送り体験記-1(2022/9/17)
<第2回>: 葬儀場安置室移送、直葬式、火葬・骨上げ帰宅まで:100歳義母、看取り・見送り体験記-2 (2022/9/18)
<第3回>:永代供養墓の契約は私たちの終活を兼ねて:100歳義母、看取り・見送り体験記-3(2022/9/19)
<第4回>:シンプルなはずの相続問題も戸籍変更回数多く、走り回ることに:100歳義母、看取り・見送り体験記-4(2022/9/21)
<第5回>:社会保険関係諸手続きで故人の社会との関係消滅を実感:100歳義母、看取り・見送り体験記-5(2022/9/23)
<第6回>:92歳時老後資金1千万円、100歳看取りで残高ゼロに:100歳義母、看取り・見送り体験記-6(2022/9/25)
以上の6回、具体的なテーマに基づき振り返ってきました。
今回は、最終回。
総括として、振り返って思い起こされる点を、書き連ねてみることにします。
終活と死去に伴い、残る対応・措置等
まだ、10月3日に予定の所有権移転登記の完了の確認、10月15日に実施の故人の納骨供養・入魂式、細かいことでは、残高がごく僅かな義母の預金口座の解約廃止手続きなどが残っていますが、主だった逝去に伴い必要とした課題は、終了しています。
他に、終活という括りでは、義母が暮らした部屋の身の回りの品々の処理・処分などがありますが、サ高住及び特養での生活中、少しずつ整理してきており、看取り前後には、衣類の整理と妹との形見分け的な配分を済ませ、見送り後には、残るごくわずかの品々の処理を終えています。
他の予定としては、来月15日の納骨供養時の準備があります。
火葬後の骨上げで、喉仏用の小さな骨壷とそれ以外用の大きな骨壷に分けています。
そこで、納骨供養時には、分骨して納めるべく、3寸の小さな骨壷を昨日9月25日にネットで注文しており、今日26日には届きます。
喉仏の小さな骨壷は家に置いておき、大きな骨壷のお骨は、手配した骨壷用と麻袋用に分け、当日に備える予定です。

世代を引き継いでいく営みを経験する
私自身は自分の両親とは離れて生活していたため、看取りや葬送、その他の諸手続きに直接関与した経験は、ありません。
(明治40年生の父、大正2年生の母、共に92歳で、極度の認知症状態で逝去。)
ということもあり、30年以上同じ屋根の下で暮らし、私たち夫婦が老人施設を手配し、10年足らずの間生活してもらった義母を看取り、見送り、必要な諸手続きや対応を行うのは、経験的にも、世代を引き継いでいくためにも、必要・必然と考えて、種々向かい合い、対応してきました。
それがある意味自然な営み、役割と認識し、多くを娘である妻に代わって行なってきました。
その取り組みは、私たち夫婦のどちらか先に逝った時の、予行・準備に当ったわけで、お互いによい経験、必要な経験をできたと感じています。
また、それは同時に、私たちの3人の息子たちに、義母にはどのようにしたかの一部を示し、親である私たちがこの世に別れを告げた時に、彼らが何かしら参考にできるのでは、という思いもあります。
こうして世代を引き継いでいく。
これは、家族間の営みという括りにとどまらず、社会的な営みともイメージしています。
そしてこれから、今後の終活のあり方、進め方、取り組み方を整理し、それらの課題を、日常生活の中に少しずつ組み入れ、実行していく。
書き記しておくべきことも、折りを見てではなく、時期・期限と方法を決めて行なっていく。
今回の体験の中では、私たち夫婦も同じお墓に永代供養するための手配を済ませたので、この点については、負担が軽くなりました。
私の葬式は、仕事で過去関係した方々や知人・友人との関係を、ここ数年で区切りを付けてきたこともあり、今回の義母の直葬式でやってもらうよう伝えています。
また、残っている法人の清算をはじめ、必要な物品の整理・断捨離も、何歳までには何をという目標もほぼ立てました。
加えて、相続資産も、生命保険以外に何もないので、多くは簡単・簡潔に手続き・対応が可能と考えています。

今回の体験から考える望ましい備えと老後の生き方
今回の体験を振り返り、重複しますが、思い起こして、こんなことをお伝えしたい、行なっておきたいと思われる点を、以下にメモしてみました。
1.葬儀社の会員になり、自分たちが望む葬儀の形式・費用などについて事前に相談しておく。
2.可能ならば無宗教式とし、仏教式に伴う諸儀礼をすべて割愛することで、葬儀費用は節約できる。
3.家族葬や永代供養、樹木葬等、耳にし、目にすることが多いが、必要費用や方法など実際はどうなのかは、事前に葬儀社や寺院などに確認しておきたい。見学会などもリサーチを兼ねて参加を。
4.死亡届から火葬許可取得、火葬日の予約代行、火葬場での応対サービスなどがサービスに組み込まれている葬儀社活用が便利。
5.要介護3以上になった場合、看取りまでしてくれる特養等老人施設への入所が望ましい。
6.家族など介護資源が在宅介護が可能ならばよいが、家での看取りは、残される家族に種々の負担が生じ、他に多くの対応も必要なので、特養など施設で看取りを迎えることができるのが望ましいと思う。(病院での看取りは、できれば避けたい。)
7.死んだ後のお骨をどうするか、生前に決めて、家族などに伝えておきたい。費用がかかる場合、事前に自分たちで手配し、備えを済ませておきたい。
8.社会保険・社会福祉関係の諸届は、市町村役所の市民課の案内に従って行えばよいので、どんな手続が必要か、可能なら確認しておき、それらに必要な保険証類などの保管場所を決めておきたい。
9.老後必要な資金は、老後の生活により大きく異なる。
特に入所が必要な介護を選択する場合、特養を除けば、多額の費用負担が必須となる。
老々介護状態になれば、預貯金と年金収入で賄っていけるか、すぐ現実的な判断と対応が必要になるので、早期からいくつかのシナリオを想定し、それぞれでの資金対策のシミュレーションをしておきたい。
10.相続をどうするか、法定相続を軸にして、死後問題が起きないよう、事前に打ち合わせ等を行い、協議・合意形成しておくことができることが望ましい。
そのためにも、法務局の(不動産等)相続に必要な手続き情報などから、実際の対応を想定して、円滑に進めることができる状況か、確認しておくのもよい。
高齢者夫婦間の老老介護、親子世代とも高齢の老老介護、老老介護後も含めた単身高齢者要介護など、これから先、団塊世代以上の現実的な課題への備えを日々行なっていく必要があります。
8050問題ではないですが、私たちが今回体験したのは10070のパターン。
これからは、10070、9070問題が一気に顕在化し、11080問題なども珍しくなくなるかもしれません。
そこでは、介護、医療・健康、葬儀・お墓、相続、身辺の整理等々、家族等との話し合い・意向の伝達等を行なっておくことが望ましい課題が多々。
終活という括りになるのでしょうね。
ですがむしろ老後の望ましい生き方を考え、実践する中に含まれるのが、それらの備えといえるかと思います。
切羽詰まってからのことではなく、次の世代に円滑に引き継いでいくための先行世代の役割として、心して、探究心ももって、家族と自身の看取り・見送りについて考え、行動できればと思います。


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