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202210/9

ながら介護の罠:コロナ、テレワーク、在宅介護。仕事と介護の両立をめぐる一つの課題

少しずつ、よくなる社会に・・・

2022/9/30付日経の<私見卓見>欄に、NPO法人となりのかいごの川内潤代表理事執筆の「在宅介護、介護にマイナスも」というテーマの投稿が掲載されました。
⇒ (私見卓見)在宅勤務、介護にマイナスも

コロナ禍、テレワーク・在宅勤務、在宅介護

この私見展開のテーマは、コロナ禍、テレワーク、在宅介護の関係性。
「仕事と○○の両立」、あるいは「働き方改革」の範疇に入る課題の一つといえるかと思います。
両立の一方は「介護」ですが、もう一方は、コロナ禍で増えたテレワーク・在宅勤務での「仕事」です。
現状の介護制度は、在宅介護を奨励する方針を打ち出しています。
実は、コロナ禍での在宅勤務・テレワークの増加、場合によっては定着化は、制度管理主体の厚労省や地方自治体にとっては、この在宅介護を推し進める上で好都合の側面があります。
ただ、行政の思惑云々と関係なく、介護を担う人々自身のテレワーク在宅仕事と介護の両立においての思い入れ、ある意味では優しさが、裏目にでる可能性・リスクがあることを、川内氏は提示しています。
具体的に、テレワークと介護を並行して行うことになった社員の悩みや問題について、企業の相談が増えていることからの問題提起です。
以下、同氏の着眼と問題意識を整理し、私の感じた点を加えてみることにします。

在宅で仕事と介護の両立、が招く「やりすぎ介護」

新型コロナウイルス禍におけるテレワークは、仕事と家庭の両立にはプラスだと考えられがちで、子育てには当てはまるだろうが、介護については必ずしもそうではない。
典型的なのが、同居する親を介護しているケース。
こうした場合、在宅時間が長くなり、適度な親子の距離感が保てなくなって「やりすぎ介護」の状態に陥る家庭が出ている、というのです。
確かにイメージできますね。


家族介護・在宅介護がもたらす、葛藤や行き違いに注意を

時間があるから、自分がいるから、ということで、それまで親が利用していたデイサービスや訪問介護など、プロの外部介護サービスを断ってしまうケースもあります。
介護される親の甘え、あるいは、介護されることが当然とすることからのわがままも。
子としての親への優しさからも、ついつい手伝ったり、口を出したりし、過剰な介護になったり。
介護する側・される側、どちらかが思うようにならないことからついつい発するきつい言葉や態度。
結果として親の自立支援を阻害することになったり、双方に強いストレスがたまり、家族関係が悪化することになる。
こうした状況では仕事の方にマイナスの影響を与えることが想像できます。
突き詰めると社員のメンタル問題や介護離職を招くことさえあるわけです。

介護と仕事の両立で考えるべきこと:ながら介護で陥りやすい問題点

川内氏は、介護と仕事の両立を実践するに当たって、以下の考え方が肝要といいます。
介護と仕事の両立とは、
・自分の仕事を調整して介護時間を増やすことではなく
・仕事への影響を最小限に抑えつつ
・親が適切な介護サービスを受けられるような環境をつくること

自分が家にいながら、仕事をしながら、自ら介護にかかる時間・機会を増やして、デイサービスや訪問介護などの外部介護サービスをやめることは、決して賢明なことではないですね。
それで費用の節約ができるでしょうが、代わって自分が介護を担うのも、見えない、計上されないコストを発生させ、自分自身と親のリスクを増幅することになるわけです。
家で仕事をしながらの介護には、種々の問題が起きるリスクがあること、知っておきたいと思います。

企業は、テレワーク化促進で増える「隠れ介護」の不安・問題の相談に対処を

テレワークは、通勤時間がなくなることで、自分や家族のための時間が増え、かつ仕事の時間を子育てや介護のために使うべき時間を確保し、調整しながら仕事との両立を可能にする利点は確かにあります。
しかし、そのすべてが望ましい、好ましいように運ぶことはなかなかないという前提で、フォローする必要もあるかと思います。
企業サイドが配慮してほしい課題です。
こうしたプライベートな問題は、しかし他には相談しにくいのも事実。
介護を必要とする親と離れて暮らしている社員もいます。
総じて「隠れ介護」で悩む社員が存在するという認識を企業サイドは持つべきとし、「企業は相談しやすい風土をつくってほしい。親が元気なうちから相談していい、いざとなれば応援するというメッセージを発信し続けてほしい」と川内氏は述べています。「その結果として社員の会社に対するエンゲージメントは上昇し、社員が介護うつに陥ったり、介護離職をしたりする事態を未然に防ぐことにつながるだろう」と結んでいます。

デイサービス、ショートステイ、訪問介護等利用可能な外部介護サービスにどんなものがあるかをしっかり理解し、それらの利用方法を知悉していること。
仕事と介護の両立を考える時の必須条件と考えたいと思います。


少しずつ、よくなる社会に・・・

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