1. HOME
  2. basicpension.jp
  3. 1月課題新書。すべてがベーシック・ペンションに繋がるこの3冊:『年収443万円』『世界インフレと戦争』『未来の年表 業界大変化』
basicpension.jp

1月課題新書。すべてがベーシック・ペンションに繋がるこの3冊:『年収443万円』『世界インフレと戦争』『未来の年表 業界大変化』

20年、30年後の社会を生きるあなたへ

11月課題図書 渡辺努氏著『世界インフレの謎』で、ベーシック・ペンション導入時のインフレリスクを考察する:同氏著『物価とは何か』も併せて(2021/10/31)
12月課題図書4冊から考えるさまざまな<安保>:『世界で最初に飢えるのは日本』『グローバリズム植民地 ニッポン』『天才たちの未来予測図』『80歳の壁』(2022/12/9)

と、月次ごとに課題図書を新刊新書の中から関心があるものを選んで、読み進めてきています。

年が改まって2023年初月用の新書として、昨年末に入手したのが、この3冊。

1.小林美希氏著『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(2022/11/20刊・講談社現代新書)
2.中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書) 
3.河合雅司氏著『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』(2022/12/20刊・講談社現代新書)

発行順に以下簡単に紹介します。

小林美希氏著『年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』(2022/11/20刊・講談社現代新書) 

・『ルポ 保育崩壊』(2015/4/21刊・岩波新書)
・『ルポ 母子家庭』(2015/5/10刊・ちくま新書)
・『ルポ 保育格差』(2018/4/20刊・岩波新書)
 手元にある小林美希氏の著書です。

久しぶりに入手した小林美希氏の本書の構成・目次は、次のとおりです。

年収443万円 安すぎる国の絶望的な生活』目次

はじめに
第1部 平均年収でもつらいよ
 ・毎月10万円の赤字、何もできない「中流以下」を生きる
   神奈川県・48歳・会社員・年収520万円
 ・「私は下のほうで生きている」コンビニは行かず、クーラーもつけない生活
   東京都・35歳・自治体職員・年収348万円(世帯年収1000万円)
 ・不妊治療に対する経済的不安……「リーマン氷河期世代」の憂鬱
   北陸地方・33歳・電車運転士・年収450万円(世帯収入900万円)
 ・教育費がとにかく心配……昼食は500円以内、時給で働く正社員
   東京都・44歳・会社員・年収260万円(世帯年収1000万円)
 ・3人の子育てをしながら月13回夜勤をこなす看護師の激務
   北陸地方・42歳・看護師・年収670万円(世帯年収1300万円)
 ・で手取り65万円、「ウーバーイーツ」の副業でちょっとした贅沢を実現
   東京都・41歳・倉庫管理・年収660万円+副業(世帯年収約1500万円)
第2部 平均年収以下はもっとつらいよ
 ・月収9万円シングルマザー、永遠のような絶望を経験した先の「夢」
   東海地方・41歳・秘書・年収120万円
 ・子どもに知的障がい、借金地獄・・・マクドナルドにも行けないヘルパーの苦境
   茨城県・38歳・介護ヘルパー・年収48万円(世帯年収400万円)
 ・コロナ失業・・・1個80円のたまねぎは買わない、子どもの習い事が悩みの種
   北海道・29歳・清掃員・年収180万円(世帯年収540万円)
 ・共働きでも収支トントン、賃金と仕事量が見合わない保育士
   東京都・40歳・保育士・年収300万円(世帯年収700万円)
 ・何もかも疲れた・・・認知症の母との地獄のような日常を生きる非常勤講師
  埼玉県・56歳・大学の非常勤講師・年収200万円
第3部 この30年、日本社会に何が起きたのか?
  私の原体験
 「就職氷河期」に入って30年
 「中間層が崩壊すれば、日本は沈没する」丹羽宇一郎の言葉
  私たちは今、どんな社会に生きているのか
 「中流」という意識の低下
  こうして「格差」は生まれた
  派遣は麻薬と同じ
  働く人は何を求めているのか?
  諦めムード、そして安楽死を望む人も・・・
 「非正規」という言葉はなくなったのか
  too late ー 日本社会はすでに崩壊している
  結婚や出産への大きな影響
  世界から完全に取り残された日本
  老後破綻と隣合わせの財政破綻
  解決策はないのか
  UIJターン就職に注力する富山県
  高付加価値のものづくりへ
  安すぎるこの国の絶望的な生活

ルポに特徴・強みをもつジャーナリスト小林美希さん。
ほんの一例ですが、先にあげた書のように、これまで、主として保育や看護等社会保障・社会福祉行政・政策領域を対象としたルポルタージュを発表してきています。
しかし、今回は、同様ルポを軸にしてはいますが、少し視野を広げ、平均年収を軸とした生活視点を据え、中流階層にも対象を広げました。
その結果が、ご本人もSNSで発信していらっしゃるのですが、発売1ヶ月で既に5刷を重ねるに至っていると言えるでしょうか。
彼女がどのように本書をまとめ、解決策・対策などを提案するのか興味深いのですが、次に紹介する中野剛志氏の書を先に読み始めているので、それが終了後、確かめてみることにします。

ただ、上記の構成・目次を見れば、やはり行く着くべき政策・対策は、日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金になる。
のっけから何ですが、そう思わざるを得ないのであります。

中野剛志氏著『世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』(2022/12/15刊・幻冬舎新書) 

実は、3冊のうち、本書を真っ先に読み始めています。
後述した構成・目次からも類推できるのですが、本書は、冒頭紹介した、昨年11月及び12月の課題書とした次の2冊
・渡辺努氏著『世界インフレの謎』(2022/10/20刊・講談社現代新書)
・藤井聡氏著 『グローバリズム植民地 ニッポン – あなたの知らない「反成長」と「平和主義」の恐怖 』(2022/10/25刊:ワニブックスPLUS新書)
とそれぞれ重なるテーマ、内容、主張を持つものと言えるでしょう。

本書の構成・目次は、以下のとおりです。

世界インフレと戦争 恒久戦時経済への道』目次

はじめに 物価高騰が示す世界の歴史的変化
第1章 グローバリゼーションの終焉
 ロシアのウクライナ侵攻で迎えた終焉
 終わりの始まりは2008年の金融危機
 最初から破綻していた、リベラリズムという論理
「中国の平和的な台頭」などあり得なかった
 東アジアの地政学的均衡を崩した、アメリカの失敗
 ウクライナ侵攻もリベラル覇権戦略破綻の結果
 金融危機、格差拡大、排外主義の高まり
 物価高騰は一時的な現象では終わらない
 防衛費を抑制し続けた2010年代の日本
 世界情勢の変化を把握せず、安全保障を軽視
 TPPは日本の食料安全保障を脅かす
 エネルギー安全保障も弱体化させた安倍政権
 電力システム改革が電力不安を不安定化した
 中国の地域覇権の下で生きていくのが嫌ならば・・・ 
第2章 二つのインフレーション
 グローバリゼーションが終わったからインフレが起きた
 先進国ではインフレにならないことが問題だった
 デマンドプル・インフレ ー 需要過剰で物価が上昇
 コストプッシュう・インフレ ー 供給減少で物価が上昇
 コストプッシュで持続的な物価上昇が起こる経緯
 一時的な物価上昇も「インフレ」か
 原因も結果も対策も大きく異なる二つのインフレ
 ノーベル経済学者十七人が長期のインフレ対策として積極財政を支持
 資本主義経済の正常な状態はマイルドなデマンドプル・インフレ
 コストプッシュ・インフレの言い換え
第3章 よみがえったスタグフレーション
 第二次世界大戦後に起きた六回のインフレ
 過去六回と比較し、今回のインフレをどう見るか
 2022年2月以降はコストプッシュ・インフレ
 FRBによる利上げは誤った政策
 IMFは利上げによる世界的景気後退懸念
 コストプッシュ・インフレ対策としては利上げは逆効果
 1970年代よりはるかに複雑で深刻な事態
 世界的な少子高齢化から生じるインフレ圧力
 気候変動、軍事需要、長期的投資の減速
「金融化」がもたらした株主重視の企業統治
 企業が賃金上昇を抑制する仕組みの完成
 なぜ四十年前と同じ失敗が繰り返されるのか
 インフレ政策をめぐる資本家と労働者の階級闘争
 七〇年代のインフレが新自由主義の台頭をもたらした
 ケインズ主義の復活か新自由主義の隆盛か 
第4章 インフレの経済学
 主流派経済学の物価理論と貨幣理論
 貨幣供給量の制御から中央銀行による金利操作へ
 コストプッシュ・インフレを想定していない政策判断
 問題の根源は、貨幣に対する致命的な誤解
 注目すべき「貨幣循環理論」と「現代貨幣理論」
 財政支出に税による財源確保は必要ない
 政府が財政赤字を計上しているのは正常な状態
 政府は無制限に自国通貨を発行でき、財政は破綻しない
 財政支出や金融緩和がインフレを起こすとは限らない
 ポスト・ケインズ派は「需要が供給を生む」と考える
「矛盾しているのは理論ではなく、資本主義経済である」
 経済成長には財政支出の継続的な拡大が必要
 ハイパーインフレはなぜ起きるのか
 コストプッシュ・インフレは経済理論だけでは解決できない 
第5章 恒久戦時経済
 第五波インフレで、世界は政治的危機へ
 中世ヨーロッパ文明に終焉をもたらした第一波インフレ
 格差拡大、反乱、革命、戦争を引き起こした第二波・第三波
 冷戦の終結をもたらした第四波インフレ
 すでに危険な状態にあった世界を襲った第五波
 内戦が勃発する可能性が高まっているアメリカ
 債務危機のリスクが高まりナショナリズムが先鋭化するEU
 成長モデルの根本的な変更を余儀なくされている中国
 中国の行き詰まりから東アジア全体で地政学的危機勃発か
 日本は最優先で何に取り組むべきか
 安全保障を強化し、内需を拡大させる産業政策を
 国内秩序を維持するための「大きな政府」
 特定の財に限定した「戦略的価格統制」の有効性
 世界秩序の危機は長期化し、戦時経済体制も長期化
「恒久戦時経済」構築以外に生き残る道はない 
おわりに 悲観的積極主義


昨年末、渡辺努氏著の『世界インフレの謎』『物価とは何か』を参考にして、ベーシックインカム及び私が提案するベーシック・ペンション導入時のインフレリスクに関する考察として、http://basicpension.jp で以下の2記事を投稿しています。
従来の経済理論が通用しなくなった物価・インフレ動向・要因とベーシックインカムとの関係:渡辺努氏の物価・インフレ論から考える-1(2022/12/24)
ベーシック・ペンションによる過剰流動性及び需給アンバランス要因でのインフレ対策:渡辺努氏の物価・インフレ論から考える-2(2022/12/30)

 このベーシックインカム、ベーシック・ペンション論に加えて、https://2050society.com でメインテーマとしている多様な領域における安保政策・安保問題に関係した内容を、本書及び先述の藤井肇氏の書で取り上げられているのです。
 加えて、幸いなことに?、ベーシックインカム、ベーシック・ペンション論において最も論争になる課題の一つ<財源論>について、バックアップしてくれる内容も含んでいるのです。
 ということで、いずれ本書をも活用・援用してベーシック・ペンション論の考察・提案を加えていく予定です。

河合雅司氏著『未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』(2022/12/20刊・講談社現代新書)

最後に、本書は、河合雅司氏によるベストセラー『未来の年表』シリーズの第5巻に当たるもの。
私の手元には、以下の第1巻と第2巻があり、久しぶりの購入になります。

・『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(2017/6/20刊・講談社新書)
・『未来の年表2 人口減少日本であなたに起きること』(2018/5/20刊・講談社新書)

本書の構成(目次)を以下に転載しました。

未来の年表 業界大変化 瀬戸際の日本で起きること』目次

はじめに 
序章 人口減少が日本にトドメを刺す前に
第1部 人口減少日本のリアル
 革新新的ヒット商品が誕生しなくなるー製造業界に起きること
 整備士不足で事故を起こしても車が直らないー自動車産業に起きること
 IT人材80万人不足で銀行トラブル続出ー金融業界に起きること
 地方紙・ローカルテレビが消える日ー小売業界とご当地企業に起きること
 ドライバー不足で10億トンの荷物が運べないー物流業界に起きること
 みかんの主力産地が東北になる日ー農業と食品メーカーに起きること
 30代が減って新築住宅が売れなくなるー住宅業界に起きること
 老朽化した道路が直らず放置されるー建設業界に起きること
 駅が電車に乗るだけの場所ではなくなるー鉄道業界に起きること
 赤字は続くよどこまでもーローカル線に起きること
 地方に住むと水道代が高くつくー生活インフラに起きること
 2030年頃には「患者不足」に陥るー医療業界に起きること1
「開業医は儲かる」という神話の崩壊ー医療業界に起きること2
 多死社会なのに「寺院消滅」の危機ー寺院業界に起きること
 会葬者がいなくなり、「直葬」が一般化ー葬儀業界に起きること
「ごみ難民」が多発、20キロ通学の小学生が増加ー地方公務員に起きること
 60代の自衛官が80~90代の命を守るー安全を守る仕事に起こること
第2部 戦略的に縮むための「未来のトリセツ」(10のステップ)
 ステップ1 量的拡大モデルと決別する
 ステップ2 残す事業とやめる事業を選別する
 ステップ3 製品・サービスの付加価値を高める
 ステップ4 無形資産投資でブランド力を高める
 ステップ5 1人あたりの労働生産性を向上させる
 ステップ6 全従業員のスキルアップを図る
 ステップ7 年功序列の人事制度をやめる
 ステップ8 若者を分散させないようにする
 ステップ9「多極分散」ではなく「多極集中」で商圏を維持する
 ステップ10 輸出相手国の将来人口を把握する
おわりに


 この目次・構成からもやはり、多様な安保政策・安保問題との関係・連携を想起させます。
 また、業界⇒職種・雇用・失業⇒所得・賃金⇒格差・貧困 という連想も浮かぶことから、その保障としてのベーシックインカム、ベーシック・ペンションの必要性に繋がっていきます。
 業界の大変化は、私たちの仕事・職業と生き方・生活の変化をもたらすことはいうまでもありません。情報の確認的に、流し読めば良いのではと考えています。
 

すべての課題が、ベーシック・ペンション導入に繋がる

 11月の書も、12月の書も、自ずと関心が、多面的・体系的な<安心安全安定・保有保持確保>の「安保」政策に基づく自給自足社会経済システム>へのシフトと、ベーシック・ペンションに拠る<安心安全安定・保有保持確保>の基礎的生活「安保」にあるため、新刊新書の選択もその基準に基づくものが、このところ増えています。
 その絡み、関連・連携をいかに分かりやすく、整理し、表現していくか。
 一筋ならでは、の課題ですが、なんとか今年も粘り強くと念じつつ取り組んでいきます。
 

20年、30年後の社会を生きるあなたへ

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。