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2月課題新書。食料安保と関係する2冊と日本の未来書:『日本が飢える!』『誰が日本の農業を殺すのか』『2040年の日本』

昨年夏までは、入手した新刊新書を「勝手に新書」と題して紹介していたのですが、秋からは以下のように、月初に、その月に読むべく入手した書を「○月課題新書(図書)」と題して紹介するようにしています。

11月課題図書 渡辺努氏著『世界インフレの謎』で、ベーシック・ペンション導入時のインフレリスクを考察する:同氏著『物価とは何か』も併せて(2022/10/31)
12月課題図書4冊から考えるさまざまな<安保>:『世界で最初に飢えるのは日本』『グローバリズム植民地 ニッポン』『天才たちの未来予測図』『80歳の壁』(2022/12/9)
1月課題新書。すべてがベーシック・ペンションに繋がるこの3冊:『年収443万円』『世界インフレと戦争』『未来の年表 業界大変化』(2023/1/4)

今月2月は、以下購入した3冊を順次読んでいきます。

1)山下一仁氏著『日本が飢える! 世界食糧危機の真実』(2022/7/25刊:幻冬舎新書 )
2)窪田新之助氏・山口亮子氏著 『誰が農業を殺すのか』(2022/12/20刊:新潮新書 )
3)野口悠紀雄氏著2040年の日本(2023/1/20刊:幻冬舎新書 )

1)及び2)は、冒頭の12月課題図書に組み入れた、
鈴木宣弘氏著世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか(2022/11/18刊:講談社+α新書)
と同様、日本の農業問題・食料問題をテーマとした書。
目的は、他で運営する https://2050society.com におけるカテゴリーの一つ「国土・資源政策2050年ビジョン」に組み込んでいる<食料、農畜産・水産業安全保障>に関する政策提案の更新にあります。
まず、この2冊を、発刊順に紹介します。

山下一仁氏著『日本が飢える! 世界食料危機の真実』(2022/7/25刊:幻冬舎新書 )

本書は、先述の鈴木氏の書よりも数ヶ月先行して出版されていました。
知っていれば、先に入手して読んだのですが。
https://2050society.com で、「食料安保」について、新しい情報を元に検討をと考え、準備していた段階だったので、本書及び次の窪田新太郎氏の新刊書も合わせて入手し、3冊読み比べ終えてからとしたわけです。

『日本が飢える! 世界食糧危機の真実』構成(章レベル)
はじめに
第1章 食料とは何か?
第2章 貿易から見える世界の食料事情
第3章 真実をゆがめられた日本の農業
第4章 ”食料自給率”というまやかし
第5章 持続可能な日本の水田農業
第6章 食料危機を作る農政トライアングル
第7章 食料危機説の不都合な真実
第8章 日本が飢える ー 餓死者6000万人

おわりに

山下氏については、かねてから注目しており、これまで以下の2冊が手元にあります。

・『日本農業は世界に勝てる』(2017/7/20刊・日本経済新聞出版社)
・『国民のための「食と農」の授業 ファクツとロジックで考える』(2022/3/17刊・日本経済新聞出版)
後者の方は、「勝手に新書」シリーズを続けている段階で、以下で取り上げました。

可視化社会、フェミニズム、お金の未来、SDGs、22世紀民主主義、食と農。5の付く日曜日ポイント20倍、読書用新刊新書まとめ買い:勝手に新書集ー18(2022/6/7)

窪田新之助氏・山口亮子氏著 『誰が農業を殺すのか』(2022/12/20刊:新潮新書 )

次は、これまで以下の同氏著の新書も読んでいる、窪田新之助氏が山口亮子氏と共著した新刊『誰が日本の農業を殺すのか』(2022/12/20刊:新潮新書 )です。

①『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』(2015/12/17刊・講談社+α新書)
②『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活 』(2017/2/20刊・講談社+α新書)
③『データ農業が日本を救う』(2020/8/12刊・インターナショナル新書)

この書も目的は、先述の山下氏の書と同様、食料安保について、2023年の上半期段階での考え方・政策を整理し、提案するための参考図書の1冊とすることにあります。
本書の章レベルの構成(目次)は、次のようになっています。

『誰が日本の農業を殺すのか』構成(章レベル)
はじめに
第1章 中韓に略奪されっぱなしの知的財産
第2章 「農産物輸出5兆円」の幻想
第3章 農家と農地はこれ以上いらない
第4章 「過剰な安心」が農家をダメにする
第5章 日本のコメの値段が中国で決まる日
第6章 弄ばれる種子
第7章 農業政策のブーム「園芸振興」の落とし穴
第8章 「スマート農業」はスマートに進まない

おわりに

先述の山下氏の新刊、後述する鈴木氏の新刊、それぞれの構成(目次)とやや趣が違っています。
学者・研究者というよりも、ジャーナリストとしてのレポート風です。
ちなみに、先述の既刊書の帯の謳い文句は、次のようになっています。
①『GDP4%の日本農業は自動車産業を超える』(2015/12/17刊):「2025年には1戸あたり10ha!!超大規模化する農地」
②『日本発「ロボットAI農業」の凄い未来 2020年に激変する国土・GDP・生活 』(2017/2/20刊):「迫る完全ロボット化 作業時間は9割減、輸出額1兆円も目前!」
③『データ農業が日本を救う』(2020/8/12刊):「トマトの収量が7倍に!糖度と大きさをコントロール。生産から販売までを一括管理。」 

これまでは、農業のバラ色の未来を喧伝し、あまり農政批判的な内容はみなかったのですが、今回はどうでしょうか?
表紙に添付の帯には「農業ジャーナリストが返り血覚悟で記した「農政の大罪」」とあり、少しは期待したいと思います。

なお、12月の課題図書とした
・鈴木宣弘氏著世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか(2022/11/18刊:講談社+α新書)
の構成(章レベル)を参考までに以下に引用しました。

『世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか』構成(章レベル)
序 章 「クワトロ・ショック」が日本を襲う
第1章 世界を襲う「食の10大リスク」
第2章 最初に飢えるのは日本
第3章 日本人が知らない「危険な輸入食品」
第4章 食料危機は「人災」で起こる
第5章 農業再興戦略


以上の農業書3冊を参考に、できれば今月中に、https://2050society.com で食料安保をテーマとした記事を数回シリーズで投稿したいと考えています。

野口悠紀雄氏著2040年の日本(2023/1/20刊:幻冬舎新書 )

最後の3冊目は、野口悠紀雄氏著2040年の日本
本書を選んだのは、私が運営している上記 https://2050society.com が、「2050年の望ましい日本社会の創造」を主テーマとしており、本書の方は「2040年の日本」を描く書であったため。

同氏の書では、過去CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃(2021/11/15刊・新潮社)を参考にして、ベーシック・ペンション論の参考図書として活用しています。

本書の構成(章と項レベルの目次)を参考までに以下、引用しました。

『2040年の日本』構成
はじめに:なぜ未来を考えるのか
第1章 1%成長できるかどうかが、日本の未来を決める
 1.なぜ経済成長が必要なのか
 2.少子化のもとで1%成長を実現できるか
 3.高い経済成長率見通しは、深刻な問題を隠蔽する
 4.日本経済の長期的な成長率を予測する
 5.出生率低下は日本の将来にどんな影響を与えるか
第2章 未来の世界で日本の地位はどうなるか
 1.日本は豊かな国であり続けるが、新興国との差は縮まる
 2.中国との関係は、きわめて重要だが難しい
 3.GDPが日本の10倍となる中国と、どのようの向き合うべきか
 4.急激な円安で、日本は台湾より貧しい国になった
第3章 増大する医療・介護需要に対処できるか
 1.社会保障負担を4割以上上げる必要があるのに、何もしていない
 2.超高齢化社会では誰もが要介護になる
 3.医療・福祉が最大の産業となる20年後の異常な姿
 4.低い賃金で、必要な介護人材を確保できるか
 5.こんな経済が成り立つのか
第4章 医療・介護技術は、ここまで進歩する
 1.医療技術はどこまで進歩するか
 2.介護ロボットはどこまで進化するか
 3.未来の医療は、メタバースで行われる
第5章 メタバースと無人企業はどこまで広がるか
 1.メタバースがもたらす巨大な可能性
 2.メタバース経済取引の可能性と問題点
 3.日常生活にメタバースを使う
 4.NFTで何ができるか?
 5.無人企業DAOが現実化する
第6章 自動運転とEVで生活は大きく変わる
 1.完全自動運転が実現したら、社会はどう変わるか
 2.自動運転で生活環境は大きく変わる
 3.EVへの移行は進むか
第7章 再生可能エネルギーで脱炭素は実現できるか
 1.日本の将来のエネルギーは大丈夫か
 2.原発の所要稼働台数を計画の3分の1に減らせるか
第8章 核融合発電、量子コンピュータの未来
 1.実現が難しい技術はどうなるか
 2.比較的早期に実現できる技術
 3.量子コンピュータと量子暗号とは何か
第9章 未来に向けて、人材育成が急務
 1.日本のデジタル化は「バック・トゥ・ザ・パースト」
 2.世界ランキングで分かる、日本の大学の立ち後れ
 3.デジタル人材育成の遅れが日本の遅れの基本原因
 4.勉強しない日本の学生と、死に物狂いで勉強するアメリカの学生
おわりに:われわれは、未来に対する責任を果たしているのか?


このテーマ・リストを見る限りでは、2040年の生活がどのように変化・変貌しているかの予測を記述している構成が強く、あまり政策提案の色は出ていないようです。
それが少々残念ですが、読んでみないと分からないですね。
読む順としては、食料安保をテーマとして先行させており、3冊目最後になります。
https://2050society.com で取り上げるべき内容があれば、3月には投稿をと考えています。

なお、先述書CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃を参考にしたシリーズ記事については、以下でご覧頂けます。
⇒ 野口悠紀雄氏著『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』から:2021年発刊新書考察シリーズ振り返り-5(2021/12/30)

CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃シリーズ記事リスト】
<序論>:日本独自のベーシックインカム、ベーシック・ペンション生活基礎年金BPの専用デジタル通貨化を考えるシリーズ:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-序(2021/12/15)
<第1回>:仮想通貨、電子マネー、デジタル通貨、JBPCの特徴:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-1 (2021/12/17)
<第2回>: CBDC中央銀行デジタル通貨の特徴と強みを知る:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-2 (2021/12/20)
<第3回>:CBDCで市中銀行は不要になる?:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-3(2021/12/21)
<第4回>:金融財政システム、社会経済システム改革との一体化が必要なCBDC導入:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-4 (2021/12/22)
<第5回>:デジタル円とデジタルJBPC並立による中央銀行デジタル通貨CBDC体制へ:『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』とJBPC-5(総括)(2021/12/23)

20年、30年後の社会を生きるすべての世代へ

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