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6月の課題新書+5月既読新書:MMT関連書集中と注目の新刊書『半導体有事』他

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4月5月課題新書取り組み状況


4月5月課題新書:『さらば、男性政治』『国費解剖』『日本銀行 我が国に迫る危機』プラスα(2023/4/9)
そこで取り上げた以下の5冊のうち、日本経済新聞社編『国費解剖 知られざる政府予算の病巣』のみ未読・積ん読状態のまま。

1.三浦まり氏著『さらば、男性政治』(2023/1/20刊・岩波新書)
2.日本経済新聞社編『国費解剖 知られざる政府予算の病巣』(2023/3/8刊・日経プレミアシリーズ新書)
3. 河村小百合氏著『日本銀行 我が国に迫る危機』(2023/3/20刊・講談社現代新書)
※ 小松理虔氏著『新地方論 都市と地方の間で考える』(2022/10/30刊・光文社新書)
※ 島倉原氏著『MMTとは何か 日本を救う反緊縮理論』(2019/12/10刊・角川新書)

そのうち、最初の
・三浦まり氏著『さらば、男性政治』(2023/1/20刊・岩波新書)は、先月下旬から同書を題材として
女性主体政党はジェンダー平等時代に逆行しているか:三浦まり氏著『さらば、男性政治』から考える(序)(2023/5/26)
「男性ばかりの政治」の実態と要因を確認する:三浦まり氏著『さらば、男性政治』から考える-1(2023/5/31)
とシリーズ化を開始。
今月末までに第8回まで予定しています。
・『国費解剖 知られざる政府予算の病巣』のみ未読で、6月・7月に繰り延べ。
・『新地方論 都市と地方の間で考える』は好著でしたが、特に取り上げる予定はありません。
・『日本銀行 我が国に迫る危機』は、後述するシリーズの(序)でも紹介しましたが、そのシリーズの中で活用するかどうかは、流れによって、と考えています。
最後の
・島倉原氏著『MMTとは何か 日本を救う反緊縮理論』については有意義な書と評価し、後述するシリーズで今月取り上げます。

5月既読新書

上記の課題新書とは別に、5月に以下の2冊を入手し一応読了。
1)スコット・サンテンス氏著・朴勝俊氏訳『ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう: 誰ひとり取り残さない経済のために 』(2023/3/10刊・那須里山舎)
2)中野剛志氏著『どうする財源 - 貨幣論で読み解く税と財政の仕組み』(2023/3/31刊・祥伝社新書)
どちらも、提案している日本独自のベーシックインカム、ベーシックペンション生活基礎年金との関連で活用すべく、備えたものです。

「財源・財政・金融・インフレ問題とMMTを関連付けてベーシックインカム、ベーシック・ペンションを考察すること」が目的。
前出の島倉氏の書を含め、
スコット・サンテンス氏著・朴勝俊氏訳ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう 誰ひとり取り残さない経済のために 』(2023/3/10刊・那須里山舎)
島倉原氏著MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論』(2019/12/10刊・角川新書)
中野剛志氏著どうする財源 - 貨幣論で読み解く税と財政の仕組み』(2023/3/31刊・祥伝社新書)
の3冊を順に取り上げ、ベーシックインカムBI、ベーシック・ペンションBPとMMT現代貨幣理論を関連付けて考察を進めるシリーズを始めたところです。

財源・財政・金融・インフレ問題とMMTを関連付けてベーシックインカム、ベーシック・ペンションを考察するシリーズ(序)(2023/5/24)
を全体の序論とし、まず初めに
Ⅰ『ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう 誰ひとり取り残さない経済のために 
を用いて、以下の第1回記事を投稿。
スコット・サンテンス氏の想いを知る:『ベーシックインカム×MMTでお金を配ろう』から考えるベーシック・ペンション-1(2023/5/29)
こちらのシリーズも、6月末までに終え、次に
Ⅱ『MMT〈現代貨幣理論〉とは何か 日本を救う反緊縮理論』、Ⅲ『どうする財源 - 貨幣論で読み解く税と財政の仕組み』と、順に用いたシリーズを7月に展開する予定です。

参考までに、以上の3冊のそれぞれの構成(目次)を掲げています。

『ベーシックインカム×MMT(現代貨幣理論)でお金を配ろう』構成
・はじめに
・魔法の浴槽
・産出量ギャップと生産能力の活用
・インフレ、インフレ、インフレ
・見えない税金
・お湯を抜く
・最適な排水口
・テスラ・フォア・オール
・子どもを働かせる名刺の話
・ブルシット・ジョブ
・過剰正当化効果
・スプーンやシャベルの代わりにロボットを
・労働時間を減らして成果を上げる
・雇われていなくても非生産的でない
・MMTに足りないもの
・結論

MMT<現代貨幣論>とは何か 日本を救う反緊縮理論』構成
はじめに
序章 MMTはなぜ注目されているのか
・MMTブームに火をつけた女性政治家
・有力者による批判の的となったMMT
・日本にも波及したMMT論争
・MMTサイドからの報道や議論
・本書の目的と構成
第1部 MMTの貨幣論
第1章 貨幣の本質

・貨幣の定義
・貨幣に関する3つの機能と「計算貨幣」
主流派経済学は「商品貨幣論」
・商品貨幣論の問題点(1)論理構造の欠陥
・商品貨幣論の問題点(2)物々交換経済の不在
・商品貨幣論の問題点(3)「貴金属硬貨=効率的な交換媒体」論の非現実性
MMTは「信用貨幣論」
・「割り符=貴金属硬貨の代用品」はありえない
・貴金属硬貨も債務証書の一種だった
・「貨幣国定学説」と表券主義
・租税が貨幣を動かす
・国定貨幣=国家を債務者とする特殊な信用貨幣
第2章 預金のメカニズム
・預金も信用貨幣の一種
・通貨供給が貸出と預金を生み出す ー 主流派経済学は「外生的貨幣供給論
・中央銀行はマネーストックを制御できる ー 主流派経済学の「貨幣乗数理論」
・銀行貸出が預金と通貨を生み出す ー MMTは「内生的貨幣供給論
・実務関係者が支持するのは内生的貨幣供給論
・負債のピラミッド構造
・ビットコインは貨幣か?
・ビットコインは貨幣ではない ー MMTの結論
第3章 主権国家における政府の機能
・主権通貨とは何か
・自国通貨建てであれば政府の支出能力には制限がない
支出能力に制限はないが、インフレが政府支出の制約となる
税金は財源ではなく、国債は資金調達手段ではない
・主権通貨国の財政オペレーション(1)統合政府のケース
・主権通貨国の財政オペレーション(2)中央銀行が国債を引き受けるケース 
・主権通貨国の財政オペレーション(3)民間銀行が国債を引き受けるケース
・現実に行われている「間接的な財政ファイナンス」
・中央銀行の独立性は「手段の独立性」
・政府の赤字支出は金利を引き下げる
財政赤字が非政府部門の貯蓄を創造する
・海外部門の国債保有は問題ではない
政府財政は赤字が正常
第2部 MMTの政策論
第4章 MMTの租税政策論

・「MMT=無税国家論」ではない
・租税の目的とは何か
悪い税(1)社会保障税
悪い税(2)消費税
悪い税(3)法人税
第5章 機能的財政論
「完全雇用と物価安定」という公共目的
・機能的財政と二つのルール
・機能的財政と表券主義
・機能的財政と為替相場制度
第6章 就業保証プログラム
・裁量的財政政策に否定的なMMT
・就業保証プログラムとは何か
・就業保証プログラムの3つの意義
就業保証プログラムの問題点
・就業保証プログラムの実例? ー 理論と現実とのギャップ
・ベーシック・インカムや最低賃金制度との違い
第3部 MMTから見た日本経済
第7章 日本は財政危機なのか

・クルーグマンの機能的財政論批判
・日本は非常に良い事例 ー ケルトンの反論
・財政赤字は金利やインフレ率の上昇とは無関係
・日本は財政危機ではない ー MMTと財務省のコンセンサス?
・自国通貨建て債務でも国家は破綻する? ー サマーズの批判
デフォルトや通貨危機の真の原因は固定相場制 ー MMTの結論
第8章 日本経済には何が必要なのか
・企業の過少投資が主導する日本の長期デフレ
・生産能力と人々の生活を破綻するデフレ・スパイラル
・金融政策よりも財政政策 ー ケルトンの提言
・金融政策こそ主要な政策手段 ー クルーグマンの異論
・金融政策の効果は乏しい ー ケルトンの反論
・緊縮財政こそが長期デフレの原因
・量的緩和政策は何が問題なのか
・デフレ不況を深刻化させる消費増税
・「マクロ経済スライド」は緊縮財政の産物
・機能的財政が「老後2000万円問題」を解決する
第9章 民主主義はインフレを制御できるのか
・財政の民主的統制は難しい?
・ケインズ型政策がスタグフレーションをもたらした?
・マクロな視点が欠落した『赤字の民主主義』
・民主的統制能力を示す現代の日本
・スタグフレーションには複合的対策を ー MMTのスタンス
民主主義はインフレを制御できる ー MMTのハイパーインフレ論
・民主主義の不在が招いた日本の悲劇
おわりに ー MMTをどうす生かすべきか
・主流派経済学はなぜ間違えるのか
・現実とも整合的なMMT
・MMTの課題と展望
・MMTの「実践」が求められる日本
・「公益民主主義」の形成に向けて

『どうする財源 ー 貨幣論で読み解く税と財政の仕組み』構成
はじめに ー 財源とはなにか
序 章 防衛財源を巡る様々な見解
第1章 貨幣とは、何だろうか
・商品貨幣論
・数千年前に存在した信用システム
・信用貨幣論
・流通する貨幣の大半は、現金ではない
・民間銀行はいかにして貨幣を生み出すか
・民間銀行による貸出しが貨幣を生む
・民間銀行の貸出しの制約
・貸出しなくして、貨幣創造なし
・現金預金はどうして信頼されているか
第2章 資本主義の仕組み
・知っているようで知らない「資本主義」
・資本主義における貨幣の循環
・貨幣循環の仕組み
・デフレは、資本主義の死
・デフレになると、経済はどうなるか
第3章 資本主義と国家財政
・貨幣循環(民間部門)
・貨幣循環(政府部門)
・デフレ悪化は資本主義の崩壊を招く
・政府には、返済能力の制約はない
・政府債務は完済せずとも可
・貨幣を創造し、徴税権力を有する日本政府は破綻しない
・現代貨幣理論(MMT)
・財政赤字は、むしろ正常な状態 
第4章 資本主義における経済政策
・実物資源の制約
・財政支出は、ヒトやモノなどの実物資源には制約される
・資本主義以前の社会
・なぜ資本主義経済は成長するのか
・財政支出と経済成長
・日本だけがデフレであり続けた理由
・「機能的財政」という考え方
・「健全財政」と「機能的財政」、2つの考え方
・財政支出は「高インフレになる前まで」
第5章 「国民の負担」とは何か
・機能的財政における税の考え方
・経済成長における財源の確保?
・「経済成長における税収増」と防衛財源
・真の国民負担とは何か
・実物資源の制約こそ「国民の負担」
・経常収支赤字は負担になるか
・今を生きる世代の負担
第6章 インフレの問題
・MMTに対する批判
・MMTの概要
・固定為替相場制という制約
・日本政府に財政破綻の可能性はない
・2つのインフレ
・野口悠紀雄教授の「生兵法は大怪我の基」
・ハイパーインフレの正体
・コストプッシュ・インフレ対策
・政府による産業政策が必要になる
・「将来世代へのツケ」の正体
第7章 金利の問題
・3つの財源?
・学者にあるまじき振る舞い
・民間貯蓄は増える
・政府支出の実際
・「財政破綻説」は間違っていた
・経済学者たちの妄言
・『イソップ寓話』のオオカミ少年
・伊藤元重、吉川洋、東大教授たちの誤謬
第8章 矢野論文の衝撃
・不都合なMMT批判
・現役財務次官の見解
・片腹痛い矢野氏の「大和魂」
・矢野論文の問題点
・日本国債のデフォルトなど起きない
・ワニの口
第9章 自己制裁
・日本の財政運営はガラパゴス
・憲法九条と財政法四条
第10章 歴史の教訓
・朝日新聞の社説
・財政規律と国民の安全と、どちらが大事か
・資本主義の仕組みを理解していた高橋是清
・増税を要求していた日本陸軍
・歴史の反省
・終戦直後のインフレ
・歴史の証言
・奇妙な論理
おわりに ー 最後の問題

6月課題図書リスト

次に本題の今月6月の課題図書。
以下の6冊を上げました。

1.湯之上隆氏著『半導体有事』(2023/4/20刊・文春新書)
2.山本康正氏著『テックジャイアントと地政学』(2023/3/8刊・日経プレミアムシリーズ)
3.荒川和久氏著『 「居場所がない」人たち 超ソロ社会における幸福のコミュニティ論』(2023/4/5刊・小学館新書)
4.宇野常寛氏著『遅いインターネット』(2023/4/10刊・幻冬舎文庫)

※① L・ランダル・レイ氏著、島倉原氏監訳、鈴木正徳氏訳、中野剛志氏・松尾匡氏解説『MMT現代貨幣理論入門 』(2019/9/12刊・東洋経済新報社)
※② ステファニー・ケルトン氏著、土方奈美氏訳『財政赤字の神話: MMTと国民のための経済の誕生 』(2020/10/15刊・早川書房)

後の2冊は新刊書ではなく、上述シリーズとの関連で入手した、MMTに関するハードカバーの既刊書。
どちらもそれなりの価格なので、中古書を入手。
そのシリーズを進める中で、必要に応じ少し目を通しつつ、いずれ時間的余裕ができたら読み、活用するつもりでいます。

新刊書4冊の中で最も関心があるのが、現状読み進めている『半導体有事』。
経済安保の対象の一つであり、現状非常に話題になり、その動向が注目を集めている<半導体>について、半導体実務に携わった経験がある専門家(研究者経験も)が書いた書。
必須の半導体の知識を得るに格好の書と思います。
7月には、本書を用いてシリーズ化したいと考えています。
参考までに、その構成を提示しました。

『半導体有事』構成
はじめに
第1章 米国による対中規制と「台湾有事」

・なぜ米国は中国半導体を攻撃するのか
・一つ目のターニングポイント「2020・5・14」
・米CHIPS法
・二つ目のターニングポイント「2022・10・7」
・「台湾有事」の懸念
・なぜTSMCが海外でファウンドリーを建設するのか
第2章 半導体とは何か

・トランジスタとは何か
・なぜ微細化するのか
・半導体の製造工程
・テクノロジーノードとは何か
・EUV獲得戦争
第3章 半導体の微細化を独走するTSMC

・TSMCを創造したモリス・チャン
・日本とTSMCの差はどこにあったのか?
・ファブレス&ファウンドリーが解決した問題
・レガシーから最先端まであらゆる半導体を生産
・田んぼのあぜ道を時速100キロでぶっ飛ばすTSMC
・ムーアの法則とは ”人間の欲望の法則” である
第4章 クルマ用の半導体不足はいつまで続くのか

・コロナ前後の車生産台数
・ジャスト・イン・タイムの弊害
・ユニークな28nmのロジック半導体が不足
・EV化と自動運転化によりパワー&アナログ半導体が不足
・今後絶望的に車載半導体不足が続く
第5章 世界半導体製造能力構築競争

・ハーメルンの笛吹きとネズミたち
・世界最大の規模となった中国半導体市場
・紫広集団が世界の半導体メーカーを ”爆買い”
・SMICが7nmの開発に成功
・インテルの「チック・タック」モデルとその崩壊
・これでも米国は国策で半導体工場を建てまくる
・韓国の「K半導体ベルト」構想
・サムソンとSKハイニックスによる巨大投資
・第2の真珠湾攻撃
第6章 日本の半導体産業はまた失敗を繰り返すのか

・衆議院での意見陳述
・なぜ日本半導体産業は凋落したのか
・日本の希望と光とは
・TSMCはなぜ熊本にやってきたのか
・自己矛盾に陥っている経産省の半導体政策
・半導体新会社ラピダスは「ミッション・インポッシブル」
・なぜ小池氏はラピダスの社長になったのか
・ファウンドリービジネスの本質とは何か
第7章 日本の強み 装置と材料は大丈夫か

・なぜ日本の製造装置と材料のシェアが高いのか
・日本のシェアが高いものと低いものに関する比較および分析
・日本人と欧米人の発想と行動様式の違い
・前工程装置のシェアが急低下
・装置メーカーの売上高ランキング
・日本の装置メーカーの生きる道とは
第8章 半導体と人類の文明

・ロシアによる軍事侵攻の影響
・戦争が始まって明らかになったアキレス腱
・2025年末に半導体工場が停止する危機
・あなたは1年間で何個の半導体を買っているか
・2050年の世界半導体市場予測
・いつまで世界半導体市場は成長するか
おわりに

他の3冊はそれぞれ異なるジャンルの書。
ソロ社会提唱者である荒川和久氏の書はこれまで何冊か手にし、扱ったこともありますが、本書を読んだあと、人口減少や少子化社会問題と重ね合わせて、いずれ紹介したいと考えています。
山本康正氏の他の書もありますが、広く薄くの感じがしており、本格的に取り上げるまでに至っていません。
本書によって、対応を考えたいと思います。
宇野常寛氏は、一応関心を持っている学者ですが、これまでのところ強いインパクトを受けてはいません。
この書も評論というよりも随筆の感覚の書と、入手してから感じており、読む順序としては後順位になります。


上記以外にも、今月入手を予定している新書がありますが、恐らく7月の課題新書になるかと思います。

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