親ガチャ、マルトリートメント、ヤングケアラー:子どもを主体とする支援センターの必要性

onologue

 今月11月初め4日、中日新聞夕刊に、今野晴貴氏が「「親ガチャ」に潜む闇」と題した小文を書いていた。
 正直、聞いたことがあるようなないようなコトバ。
 「ガチャ」は、ガチャッと回せばころっと?ガチャッと?カプセルが落ちてきて、開けてお楽しみの自販機おもちゃのことをいうのは知っている。

 読むと、今は、携帯ゲームの用語で、私が嫌いなサブスク、定額課金方式でアイテムなどを入手するシステムのことを意味するとのことだった。
 そのガチャだが、「親ガチャ」というコトバが、ネット上でスラングとして若者たちが使い始め、9月にTV番組で取り上げられて反響を呼び、一気に広まったという。
 ガチャは、上記のどの場面においても縁がなかったので、今野氏の記事で、理解したしだい。

どんな親を持つかで人生が決まってしまう、親ガチャ


 「どんな親を持つかで人生が決まってしまう」ということを意味する「親ガチャ」。
 確かにそういう側面が人によってはないわけではない。

 NPO法人「POSSE」の代表である今野氏は、誰よりも多くの子どもの雇用・貧困問題などに関わってきている。
 親の子に対する暴力、親の貧困による普通に教育を受ける機会の喪失、子への過大な期待を寄せることでの人格否定や過剰圧力による教育虐待・・・。

マルトリートメント


 直接暴力が伴わなくても、両親の不和や乱暴な言動、ネグレクトなどは子どもに深刻な影響を与え、虐待とは区別されて「マルトリートメント(不適切な養育)」と呼ばれるということだ。
 また現代の中卒・高卒で就職・就労する若者は非正規雇用が多い。
 仮に正規雇用であっても、以前のように独身寮など住宅を提供する企業はなく、已む無く親と同居せざるを得ず、親子関係が悪い状況では劣悪な住宅事情から脱することもできないという。

 こうした家族・親子をめぐる社会経済事情から、教育や住宅を選べるような社会保障政策の充実の必要性を今野氏は主張している。

負の親ガチャに近い「ヤングケアラー」世帯問題の拡大

 この「親ガチャ」と「マルトリートメント」からすぐにイメージしたのが、やはり最近非常に問題視され、マスコミも大々的に取り上げるようになってきている「ヤングケアラー」である。

 虐待やマルトリートメントが必ずつきまとう例でなくても、実質的にはそれに近いさまざまな負担を強いることになると思われる親や兄弟姉妹、祖父母など家族の介護・看護問題。
 子どもの時間と心身を拘束する日常が、教育を受ける権利や心身の成長発達を促す時間や機会を奪うことになるのは容易に想像できる。

 決して親に悪意があるわけではないだろうが、結果として、そうした現実に追い込む家族関係を、国・自治体や社会がどう改善し、支えていくか。
 どのような社会保障・生活保障制度とシステムを形成し、機能させていくか。
 核家族化し、家族資源に頼ることができない社会の拡大により、非常に重要で困難な課題を、現代は抱えることになった。
 このところ長期化した政権政党が、自助優先主義を掲げるなか、あまり問題視されることがなかった課題でもある。
 経済的な視点を主として「子どもの貧困問題」が課題とされることは多いが、現実的には、いじめ問題や家族関係問題を背景としたメンタル問題と生活・学習環境・生活実態問題もそこに加えて、対策・政策が打たれる必要がある。
 

スクール・ソーシャルワーカーの配置と子ども主体の多機能・総合支援センターの学外設置

 こうした子どもをめぐる多様な問題は、社会問題として、社会政策・社会保障政策に包含して明確に認識され、取り組まれる必要がある。
 その基盤として、当然、学校において児童の家庭環境や家族関係、生活事情などについて把握する役割・職務・責任が、いじめ問題と並んで今後明確にされるべきだろう。

 そのためには、クラス担任制に依存するだけでなく、スクール・カウンセラーやスクール・ソーシャルワーカーという専門職を学校ごとに配置する必要があろう。
 そして、それを包括的に支援する組織機能として、学外に、子どもの心身の健康とケア、安心して教育を受け、生活を送ることができるよう支援する「こども地域包括支援センター」が、自治体単位で設置・運営されるようにすべきと考える。
 本来こうした公的サービスは、NPO等に丸投げされてきたが、親を支援する機能とは別に、子どもの立場にたって、子どもに直接手を差し伸べる機能、子どもを主体として支援する機能を、地方自治体が国に代わって担うべきなのだ。

子ども庁創設先送り化にみる政府と関係官庁の無責任

 こうした問題に専門的かつ総合的に取り組む司令及び政策センターとして「子ども庁」の創設が必要となる。
 岸田政権でその実現が具体化されると思っていたが、関係官庁の縦割り既得権の壁に阻まれ、自民党もそれに加担する姿勢。
 報道では、2023年頃の創設、それもあくまでも見通しとしてのもので、熱は既に冷めているらしい。
 加速する超高齢化社会と少子化社会。
 「全世代型社会保障構築会議」の議題の中に、こうした子どもの多様な問題に関する子どもを主体的に捉えた社会保障制度についても盛り込まれるのだろうか。
 親をあてにできない子どもの人権問題は、国と自治体が主体的に関わるべき課題である。

 当サイトの基盤サイト https://2050society.com の<社会政策>ジャンルにおいて、継続的に取り組んでいく課題と認識しています。

 

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