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井上智洋氏著『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』(2021年刊)を読む

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ベーシックインカム書から考えるBI論シリーズ-6

「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる 』 (井上智洋氏著:2021/5/10刊・NHK出版新書)

 現在の日本でベーシックインカムの実現のための研究活動と社会的行動を最も積極的に行なっている若手研究者の井上智洋氏。
 AI社会実現時における雇用喪失予測を描いた2016年発刊の 『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』以降、ベーシックインカム実現に向けた提案書、啓蒙書を立て続けに出版。(後述)
 その視点の軸は、長引くデフレ経済からの脱却の経済対策としてのベーシックインカム実現にあります。
 並行して、新型コロナウィルス感染時における現金給付を求める請願運動を主導するメンバーとしても活動。

 方法や内容には違いがありますが、参考になる考え方も含むことから同氏のBI論は一定の評価をしており、ベーシック・ペンションを提案する者として2022年版の提案を行うべく、その近著 『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる 』 を再確認・再評価する目的でシリーズ化しました。

 初めに同書の構成(目次)を上げ、次に、シリーズの記事リストを掲載。
 また参考のために、同氏の著書リスト、同氏のBI論に対する記事集を添えています。


 
 

『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる 』構成

第1章 コロナ不況と経済政策
1.大切なのは経済か、命か

 ・「経済か命か?」
 ・長期不況の始まりかもしれない
 ・問題は生産性ではない
 ・一次的不況と二次的不況
 ・長期デフレ不況と就職氷河期の再来
2.コロナ危機下の経済政策 ー コールドスリープせよ
 ・ターゲットを絞った支援の難しさ
 ・事業体をコールドスリープさせる
 ・現状の支援制度の問題点
 ・支援制度をいかに整えるべきか
3.Gotoキャンペーンの是非を問う
 ・GoToキャンペーンには安全宣言が必要だった
 ・GoToキャンペーンの問題点①
 ・GoToキャンペーンの問題点②
 ・GoToキャンペーンのほうが効果が高いか?
4.反緊縮で日本はよみがえる

 ・政府の「借金」を増やすなという批判
 ・反緊縮とはどのような思想か
 ・アベノミクスの最大の失敗
 ・必要なのはヘリコプター・マネー
第2章 なぜ、ベーシックインカムが必要か
1.現状と歴史はどうなっているか

 ・コロナ危機とベーシックインカム
 ・ベーシックインカムはネオリベ的か?
 ・社会保障制度とベーシックインカムの起源
 ・20世紀のベーシックインカム論
 ・実現に向けた取り組み
2.ベーシックインカムの「自助・共助・公助」

 ・ITによる格差の拡大
 ・物流の完全無人化は可能か
 ・クリエイティブ系の仕事は増えるけれど
 ・コロナ危機が時代を10年早送りした
 「自助・共助・公助」は何を意味するか?
 ・ベーシックインカムは「 自助・共助・公助」 に反する
3.生活保護は廃止してもよいのか

 ・生活保護には欠点がある
 ・ベーシックインカムと負の所得税
 ・生活保護は廃止すべきか
 ・制度はもっとシンプルであるべきだ
 ・「理由なき困窮者」を見捨てない
4.二階建てベーシックインカムへの道

 ・当面は追加型BIしかない
 ・貨幣制度の大きな欠陥
 ・ヘリコプター・マネーの具体案
 ・二階建てべーシックインカムとは何か?
 ・インフレ率目標が達成できない理由
 ・変動ベーシックインカムで景気をどう調整するか?
 ・実現に向けた三つのフェーズ
 ・財源はどうするべきなのか?
第3章 政府の「借金」はどこまで可能か
1.財政赤字をめぐる三つの立場

 ・コロナ増税を警戒せよ
 ・税制健全化は必要か?
 ・政府が「借金」して何が悪い?
 ・ケインズ主義とは何が違うのか?
 ・財政ハト派のケインズ主義の問題点
2.現代の貨幣制度とMMT

 ・モズラーの名刺の逸話
 ・お金を使うとお金が増える
 ・マネーストックとマネタリーベースの違い
3.お金はいつ生まれ、いつ消えるのか

 ・財政支出と徴税の際のお金の動き
 ・日本を衰退に導いた大いなる勘違い
 ・お金を増やすには「借金」しかない
 ・なぜ税金は財源ではないのか?
4.政府の「借金」はなぜ問題ないのか

 ・「借金」を増やしても良い理由
 ・国債を貨幣化するとどうなるか?
補論 ドーマー条件と横断性条件

 ・ドーマー条件とは何か?
 ・横断性条件とはなにか?
 ・ノン・ポンジ・ゲーム条件
 ・マネタイゼーションした場合はどうなるか?
第4章 脱成長の不都合な真実
1.完全雇用が達成されればよいのか

 ・雇用保障プログラムとは何か?
 ・雇用保障プログラムの問題点
 ・本当に完全雇用を実現できるのか?
2.デフレマインドが日本を滅ぼす
 ・完全雇用で満足してはならない理由
 ・労働者と企業経営者のデフレマインド
 ・デフレマインドで科学技術も衰える
 ・出版不況の原因は何か?
 ・新国立競技場のザハ案が却下されたのはなぜか?
3.脱成長論とグリーン・マルクス主義
 ・脱成長論とは何か?
 ・グリーン・マルクス主義
 ・地球温暖化は本当に害悪か?
 ・グリーン・ケインズ主義
 ・経済成長と二酸化炭素排出のデカップリング
 ・すでに物欲は減退し始めている
 ・反緊縮主義とは何か?
4.なぜ経済成長が必要なのか
 ・経済成長と幸福の関係
 ・近代世界システムから考える
 ・日本の衰退と中国の勃興
 ・「日本人」と「香港人」の意外な共通点
 ・私たちはもっと豊かになっていい
おわりに

<『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える>シリーズ記事リスト

<第1回>:井上智洋氏ベーシックインカム論総括とベーシック・ペンション2022提案に向けて:『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考えるー1(2021/10/17)
<第2回>:コロナ禍ゆえ、長引く不況ゆえだけのためのベーシックインカムではない:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-2 (2021/10/25)
<第3回>:「自助・共助・公助」理念と相反するベーシックインカム:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-3 (2021/11/4)
<第4回>:3段階に分けて導入する二階建てベーシックインカム:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-4(2021/11/6)
<第5回>:デフレ脱却やBI実現には、政府の「借金」「財政不健全化」が望ましい:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-5 (2021/11/9)
<第6回>:脱成長vs反緊縮と経済第一主義とベーシックインカム:井上智洋氏著『現金給付の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』から考える-6 (2021/11/12)

<参考-1>:井上智洋氏著等に関する投稿記事

ベーシック・インカムとは-3:AIによる脱労働社会論から学ぶベーシック・インカム (2020/6/16)
朴勝俊・山森亮・井上智洋氏提案の「99%のためのベーシックインカム構想」ー1(紹介編)(2021/4/8)
朴勝俊・山森亮・井上智洋氏提案の「99%のためのベーシックインカム構想」ー2(評価編)その意義と課題 (2021/4/9)
小野盛司氏の経済復活狙いのみのベーシックインカム案? (2021/2/25)
資本主義リアリズム、加速主義、閉塞状態にある資本主義の正し方:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-1(2021/5/7)
知らなかった、民間銀行の濡れ手で粟の信用創造:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-2(2021/5/9)
信用創造廃止と貨幣発行公有化で、資本主義と社会はどうなるのか:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-3(2021/5/11)
資本主義脱却でも描けぬ理想社会:『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム-4(2021/5/13)

<参考-2>:井上智洋氏著書

・『人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊』(2016/7/20刊・文藝新書)
AI時代の新・ベーシックインカム論 (2018/4/30・光文社新書)
・『毎年120万円を配れば日本が幸せになる』(2021/1/21刊・扶桑社、小野盛司氏共著)
・『資本主義から脱却せよ 貨幣を人びとの手に取り戻す』(2021/3/30刊・ 光文社新書、松尾匡・高橋真矢氏共著)
・『「現金給付」の経済学 反緊縮で日本はよみがえる』(2021/5/10刊・NHK出版新書)

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