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岩田正美氏著『生活保護解体論』:勝手に新書-5

 昨年2021年12月中旬から読み始めたがなかなか進まず、年が明けて1月第1週になんとかなぞるように読み終えた岩田正美氏に拠る新刊書『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』(2021/11/5刊:岩波書店)。
 今回は、同書を推薦・紹介します。

 生活保護制度の解体・再編をテーマとした本書。
 私が提案している最終型としてのベーシック・ペンションでは、生活保護制度を上回る給付の実現を目指していることから、本書を参考にし、利用できる考え方や方法があれば採用するなど、より深堀りすることを目標・目的にしていました。


 本書に先立って、専用デジタル通貨での給付方式を提案しているベーシック・ペンションについて、中央銀行のデジタル通貨発行が今後必然となることを受け、技術や管理運用面における課題を検討する上で有効と考え、野口悠紀雄氏著新刊『CBDC 中央銀行デジタル通貨の衝撃』(2021/11/15刊・新潮社) を用いての小論シリーズを、ベーシック・ペンション生活基礎年金提案WEBサイト http://baiscpension.jp で終えています。

(参考)
⇒ 野口悠紀雄氏著『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』から:2021年発刊新書考察シリーズ振り返り-5(2021/12/30)

 またその書を<勝手に新書>シリーズにほぼ1ヶ月前に先行して以下で紹介・掲載済みです。
野口悠紀雄氏著『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』:勝手に新書-3(2021/12/12)

岩田正美氏著『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす


 生活保護制度の解体を提案する岩田氏の主張。
 その根拠には、ミーンズテストやスティグマ問題がもたらしている制度利用の捕捉率の低さに加え、利用されている給付の50%以上が医療扶助を占めていること、単身・高齢者が多くを占めてきている状況等があります。

 本書の構成は、以下の通りです。

『生活保護解体論 セーフティネットを編みなおす』 構成

序章 解体でみえる、最低生活保障の新たなかたち
1.パンデミックと「最後のセーフティネット」
2.誤解とマイナスイメージ
3.「必要な人」にどのくらい利用されているか
4.もう生活保護は解体して出直したほうがいい
5.これまでの改革案 ー 再構築の道筋

第Ⅰ章 生活保護という不思議な世界
1.生活保護とはどういうものか?
2.古い「貧困理解」と、生活保護としての不徹底
3.運営の二重原則
4.具体例で考えてみると
5.いくつかの謎 ー 生活扶助の「加算」と住宅扶助基準
6.何が社会扶助の保障機能を弱めているか

第Ⅱ章 国民皆保険・皆年金体制のなかの「低所得者対策」
1.社会保険と社会扶助
2.国民皆保険と「低所得者対策」
3.国民皆保険の保険料免除・軽減制度と福祉年金
4.「皆保険・皆年金」以外の低所得者対策
5. 低所得基準と生活保護基準

第Ⅲ章 解体・編み直しの戦略と指針 ー 「原理問題」を整理する
1.基礎的生活ニーズに着目して八つの扶助をグループ化する
2.原理問題(1)保険と扶助の区別をどう考えるか
3.原理問題(2)普遍と選別の多様性と「選別的普遍主義」
4.時代の変化に対応した制度に ーその他の課題

第Ⅳ章 提案 どう解体し、どう溶け込ませるか
1.医療・介護サービスニーズの「標準」保障
2.住宅手当の新設
3.教育扶助の解体と子ども養育費の保障
4.高齢期・障害のあるときの生活扶助はどうするか
5.失業時の生活保障と就労支援 ー求職者支援制度の全面改定
6.多様な方法での最低生活保障を

終章  生活の「最低限」をどう決める
1.生活の「最低限」の意味と保障水準
2.唯一正しい最低生活費算定の方法があるわけではない
3.「資産ベース」の福祉へ ー転換は可能か?
4.ベーシック・インカムのほうが早い?


 当然ですが、複数の扶助領域を持つ生活保護制度であり、それらを解体する事自体、社会保険制度や社会保障制度など多岐に亘った制度検討・再考察が提示され、それらの解体方法・内容が示される流れです。

 かなり細かい記述が詰め込まれた書。
 一応、先日、そのシリーズ第1回を、シリーズ方針として以下で開始しています。

岩田正美氏著『生活保護解体論』から考えるベーシック・ペンション-1:本シリーズ方針 (2022/1/8)

 相当苦労するかと思いますが、15回という長丁場での連載を予定。
 今年最初の重要視するシリーズ。
 なんとか頑張って取り組みたいと考えています。

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