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レアンドロダミアンと川崎フロンターレとの一期一会譚:一言一会-1

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「一言一会」始めます!

文学かノンフィクションか。
日経のスポーツ記者が書く記事は、非常に味わい深いものが多く、楽しみに読むことが多い。

「一○一会」という複数のシリーズを今月から開始。
そのシリーズの一つが、新聞・雑誌・WEBなどで見た情報で強く印象を受けた文章を紹介する「一言一会」。

その第1回は、なんと日経のスポーツ欄の記事から。
阿刀田寛記者のサッカーJリーグ表彰にまつわるその記事は、元ブラジル代表で2019年に川崎フロンターレに入ったレアンドロダミアンのMVP受賞に伴ってのもの。

以下2021/12/7付日経「川崎・ダミアンMVP Jリーグ連覇に貢献 得点王も、来日3年なお進化」から

Jリーグ MVP受賞レアンドロダミアンと川崎フロンターレとの出会い

レアンドロダミアンは、川崎が最初のリーグ連覇を遂げたあとの2019年にブラジルからやって来た。
国内王者として臨むアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)では、前線の高さも必要と考えてのテコ入れだった。
2012年ロンドン五輪得点王の看板は巨大だが、ボールを転がす川崎のスタイルと、この大型FWの折り合いを案ずる声がなかったわけではない。
ジュニーニョや大久保嘉人ら川崎の歴代エースは小柄で敏速なタイプが多かった。

「せっかく元ブラジル代表が来てくれたのだから、僕らの頭の中を変えなくちゃ」とは、昨季限りで引退した中村憲剛氏が2019年シーズン前に語った言葉。

パスサッカーを極めた川崎は変化を求めていた。
その変化は少しずつ成果となり、レアンドロダミアンの得点は入団1年目から9、13、23と毎年増えている。
見方を変えると川崎は、この大きな宝箱から力をくみとってチームに行き渡らせるのに、たっぷり3シーズンを費やしたことになる。

最前線で体を張り、ポストプレーにヘディングシュート、時には派手なオーバーヘッドでネットを揺らす。
ボールを失えば相手GK、DFに全速力でプレスをかける。
地上戦を得意とした川崎のサッカーを立体的なものにした功績は計り知れない。

「来日したときより、うまくなった」と鬼木監督に評されるレアンドロダミアンにとっても、川崎で得たものは大きいようだ。
「個人賞をもらえたのはチームメートのおかげ」としおらしく語ったストライカーはクラブとの新たな契約に合意し、「来季こそACL優勝を」と燃えている。

いっときの間に合わせの「助っ人」は要らない
それよりも、人柄のいいブラジル人を大黒柱に育てて長く居ついてもらう
そんなクラブの家風あってのMVP誕生だ。

(阿刀田寛氏著)

中村憲剛の話が先ず良い。
Jリーグチャンピオンチームが、変化・変革を求めての元ブラジル代表獲得。
その意図を素早く汲み取り、チームの変革に取り組む上での信頼性抜群のベテランリーダーの言葉。

そして、着実に自身の変革にも取り組みつつ、チームとメンバーの変革をももたらした元ブラジル代表レアンドロダミアン。
その姿勢も素晴らしい。

この大きな宝箱から力をくみとってチームに行き渡らせるのに、たっぷり3シーズンを費やしたことになる。」と表現した阿刀田氏の言もまた良し。

閑話休題:外国人助っ人及び外国人就労者との良好な関係を形成できる国と社会へ


まったくこの話にマッチするものではないが、ふと、技能実習生を迎え入れる日本のこれまでの姿勢を改めるべき転換の時を迎えたことが思い浮かんだ。

単なる労働者、人手としか多くの事業者や監理斡旋団体、そして政府。
ようやく、日本で働く外国人の就労期間の制限を撤廃すること、すなわち無期限とすることを政府が決めた。
いわゆる「特定技能」在留資格で働く外国人に関する法改正である。

コロナ禍で人の流れが遮断し、停滞する中、それ故に移民を労働者として期待する国が増え、多くの国で少子化とそれに伴う労働人口の減少をも背景にして、労働者としての移民の争奪戦が今後強まるという。

この時、肝心なのは、日本という国を好きになり、この国の人と文化に馴染み、長くそして生涯この国で暮らしたい、働きたいと思ってもらうことができるか。
日本が選択されるかどうかの、逆選別時代が来る

スポーツの世界でのいわゆる「助っ人」は、言うならば高度専門職として期待されての招聘、来日。
一過性の助っ人では、多くの場合、受け入れる方も知らず識らず、そのように対してしまうが、双方にメリットが感じられる関係性と目標と共感を、共に仕事をし、生活する中で得ることができれば・・・。

高度専門職ならば歓迎し、そうでなければ単なる人手。
そうした認識・姿勢は、もう精神面での後進性を示すものでしかない。
今回の法改正が、働く外国人との望ましい関係を、当たり前のこととして形成する国と社会に成長・成熟する好機となることを、と思い願う。

話がそれてしまった。
望ましい家風を持つクラブ。
国や社会においても同じだ。

最後に、おめでとうレアンドロダミアン! 川崎フロンターレ!
そしてありがとう!
(阿刀田氏にも)




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