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鈴木宣弘氏著『農業消滅』から:2021年発刊新書考察シリーズ振り返り-6

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今年2021年、当サイト管理者が運営する他の2つのサイトで展開した、新刊新書を取り上げて考察するシリーズ。

第1回:「『資本主義から脱却せよ』から考える社会経済システム」シリーズ (2021/12/18)
第2回:「『新型格差社会』から考える分断・格差抑止のBI論」シリーズ(2021/12/19)
第3回:「『日本の少子化対策はなぜ失敗したのか?』で考える絶対不可欠のBI論」シリーズ (2021/12/24)
第4回: 『「日本型格差社会」からの脱却』からシリーズ (2021/12/25)
第5回: 『CBDC中央銀行デジタル通貨の衝撃』からシリーズ(2021/12/30)

に続いて、第6回は、鈴木宣弘氏著『農業消滅』(2021/7/15刊・平凡社新書)を参考に、日本の農業政策を国土・資源政策における重要な課題と位置づけて考察するシリーズです。

鈴木宣弘氏著『農業消滅 農政の失敗が招く国家存亡の危機』 全体構成

本書全体の構成(目次)は、次の通りです。

はじめに
序章 飢餓は他人事ではない
・2035年には食料自給率が大幅に低下する
・コメ農家は存続さえ危うい
・なぜ、人道支援のコメの買い入れさえしないのか
第1章 2008年の教訓は生かされない
・輸出規制は簡単に起こる
・2008年の食料危機の背景には
・節操なき貿易自由化を突き進む
・畳みかける貿易自由化の現在地
・誰にとってのウィン・ウィンなのか
<コラム1>「公」が「私」に「私物化」されるメカニズム
第2章 種を制するものは世界を制す
・日本はグローバル企業の餌食になる
・亡国の種子法廃止
・種苗法改定は海外流出の歯止めになるのか
・種に知的財産権は馴染まない
・歴史的事実を踏まえて大きな流れ・背景を読む
・農産物検査法の関連規則改定の経緯
・種子法廃止に先立った農水省の通知に注目
<コラム2>「家族農業の10年」や「国際協同組合年」をめぐる動き
第3章 自由化と買い叩きにあう日本の農業
・厳しい農村の実態
・貿易自由化の犠牲とされ続けてきた農業分野
・買い叩かれる農産物
・いっそうの買い叩きのための農協攻撃
・農協改革の目的は「農業所得の向上」ではない
・国家私物化の実態
<コラム3>IMF・世銀の引き換え条件にFAOは骨抜きにされた
第4章 危ない食料は日本向け
・安全性を犠牲にしてまで安さに飛びつく私たち
・危険な食品は日本に向かう
・もう一つの成長ホルモンの危険性
・疑惑のトライアングル
・恐れずに真実を語る研究者と人々の行動が事態を動かす
・輸入小麦から検出される除草剤成分
・GM表示厳格化の名目の「非表示」化
・アメリカのGM表示をめぐる動きとGM表示法
・国産の安全神話の崩壊
・世界で強まる農薬規制とタイの衝撃
・グローバル種子・農薬企業をめぐる裁判の波紋
・世界のトレンドをつくるのは消費者
・「わからない」のが正しい
・自由貿易がもたらす、もう一つの健康被害
・安さのもう一つの秘密
第5章 安全保障の要としての国家戦略の欠如
・農業禍保護論の虚構その① もっとも守られた閉鎖市場か
・虚構その② 政府が価格を決めて農産物を買い取る制度
・虚構その③  農業所得は補助金漬けか
・収入保険は「岩盤」ではない。
・政策は現場の声がつくる
・日本の農政は世界に逆行していないか
・人口が減っても輸出で稼げば農業はバラ色なのか
・GAP推進の意味を再検証する
・食料難の記憶を忘れさせない欧米の考え方
・消費者の購買力を高めるアメリカの政策
・世界、特にアジア諸国との共生が必要不可欠
・日米安保の幻想を根拠に犠牲になってはならない
・貿易交渉の障害は農産物ではない
・互恵的なアジア共通の農業政策がカギとなる
・アジア全体での食料安全保障を

終章 日本の未来は守れるか
・日本を守る食と農林漁業の未来を築くには
・自由化は農家ではなく国民の命と健康の問題
・カロリーベースと生産額ベースの自給率議論
・私たちの命と暮らしを守るネットワークづくり
・協同組合・互助組織の真の使命とは
・真意が問われる「復活の基本計画」
・欧米で進む農業のグリーン戦略を受けて
・地域循環型の経済が私たちの命を守る道となる
おわりに

「『農業消滅』から」シリーズ記事ラインアップ

 以上の構成に基づき、各回の記事は、以下のタイトルでまとめました。

第1回:現在食料自給率38%、2035年の衝撃的予測と必要対策 :鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-1(2021/12/11)
第2回:亡国危機をもたらす農業の「種の起源」喪失:鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-2(2021/12/26)
第3回:食料自給率、食の安全から守るべき農家・農業・農産物・農協:鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-3(2021/12/28)
第4回: 「食料・農業・農村基本計画」「みどりの食料システム戦略」に農業政策転換の兆し:鈴木宣弘氏著『農業消滅』から-4 (2021/12/28)


「『農業消滅』から」シリーズ記事各回の考察と展開

 そして、各記事は、それぞれの章の内容を概略化して、次のように整理し、そのサイトの基本とする<長期ビジョン>に反映すべく再考察・再構成しました。

第1回:現在食料自給率38%、2035年の衝撃的予測と必要対策
序章 飢餓は他人事ではない>から
食料の自給率大幅激減の現状と予測、その根源的要因

第1章 2008年の教訓は生かされない>から
コロナ禍で明らかになったグローバル・サプライチェーンに依存する食料経済の脆弱性
食料危機発生時の共通要因・背景と必要な対策
貿易自由化の本質と求めるべきウィン・ウィンの在り方とは

第2回:亡国危機をもたらす農業の「種」の起源喪失
第2章 種を制するものは世界を制す>から
農産物の「種」を守ることは、国家による協同組合事業
「農業競争力強化支援法」がもたらしたグローバル企業の横暴
種苗法改定とは
種はだれのものなのか
安全保障の要である食料の源としての「種」
日本で進行中のグローバル企業に対する8つの「便宜供与」
保守、安全保障がどこか変?

第3回:食料自給率、食の安全から守るべき農家・農業・農産物・農協
第3章 自由化と買い叩きにあう日本の農業> から
厳しい農家・農村の現状
・輸入数量制限品目、食料自給率が激減、農業分野が貿易自由化の犠牲に
・主要国では国民の命を守る安全保障の要の食料と農業保護は当たり前
・ 買い叩かれる農産物問題
農協改革問題の根源及び本質、あるべき形
・外圧により迫られる農協解体
必要な農協自らの自己改革

第4章 危ない食料は日本向けから
食の安全性をめぐる現実的課題
・ GM(遺伝子組み換え)表示問題
食と農の安全問題の多様化
「安全かどうかわからない」という基本認識
・ 疑惑のトライアングルと真実を語る学者と消費者活動の重要性

第4回:「食料・農業・農村基本計画」「みどりの食料システム戦略」に農業政策転換の兆し
第5章 安全保障の要としての国家戦略の欠如>から
農業過保護論批判及びその虚構打破のポイント
・過保護なら、もっと所得も生産も増えてもいい日本の農業
・政府による価格設定・価格支持政策、農産物買い取り制度の欧米各国との比較
・ 戸別所得保障制度廃止に伴い導入の「収入保険」は、所得減少を泥沼化する欺瞞補助金制度                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                   補助金で成り立つ欧米農家に倣い、食料安全保障政策確立を
・日本の農政の諸矛盾
アジア全体での食の安全保障体制基盤構築活動を

終章 日本の未来は守れるか>から
カロリーベースの食料自給率と生産額ベースの食料自給率
地域循環型経済の基盤としての農業
・兼業農家の果たす役割・意義
・ 地域コミュニティ形成の基盤としての農業
・協同組合・共助組織の使命
・ コモンズ(共同資源)としての農地
・命と暮らしを守るネットワーク
2020年「食料・農業・農村基本計画」、2021年「みどりの食料システム戦略」に注目
・ 2020年「食料・農業・農村基本計画」から
・ 2021年「みどりの食料システム戦略」から
『農業消滅』から導き出す当シリーズ総括

 以上を踏まえ、当初の目的に沿って、本シリーズでの問題提起等を考察した上で <Ⅰ 国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題>「3.食料、農・畜産・水産業安全保障・維持開発管理 」 の一部を以下のように修正しています。

<Ⅰ 国土・資源政策 2050年長期ビジョン及び長期重点戦略課題>
3.食料、農・畜産・水産業安全保障・維持開発管理 (2021/12/28一部修正)

基本方針)
さまざまなリスクに対応できる食料自給自足国家とその持続可能な社会システムを2050年までに構築し、その基盤の下にグローバル社会に貢献できる食料のサプライチェーンモデルも構築する。
(個別重点政策)
3-1 食料自給自足国家社会の拡充:農地実態調査、未耕作地集約、自治体別強化農産品目決定
1)食料品種別自給率調査及び長期自給率目標策定 (~2025年)
2)農地生産地実態調査、未耕作地等未利用地実態調査 (~2025年)
3)目標自給率実現品種・生産地域計画立案 (~2030年) 、都道府県別農産政策立案 (~2030年)、
  取り組み進捗・評価管理、食料品危機管理システム整備構築(2031年~)
  ※最重点品目:小麦
4)農家・農村・農業従事者・農業法人、地域農業等保護・育成・開発計画策定、運用管理(~2030年)
3-2 農・畜産・水産業の長期総合政策策定と持続的取り組み
1)畜産部門自給自足長期計画、振興支援計画策定、都道府県別計画、危機管理システム策定 (~2030年) 、各進捗・評価管理
2)水産部門、遠洋・近海漁業保全計画策定、養殖分野長期計画、危機管理システム策定 (~2030年)
3)食の安全性確保・持続性総合管理政策策定と運用管理(5年サイクルでの取り組み)
 ※種苗法・種子法等改定、遺伝子組み換え・ゲノム編集・農薬等問題

4)グローバルサプライチェーン長期方針及び計画立案 (~2030年)
3-3 食品・飲料製造産業の水平・垂直統合
1)食品・飲料製造産業原材料調達・内外依存度等実態調査及び長期方針 (~2030年)
2)基礎食品・飲料指定化と自給自足可能度評価、対策立案 (~2030年)
3)都道府県別受給可能度調査及び緊急時国内サプライチェーン構築計画 (~2030年)
4)グローバルサプライチェーン長期方針及び計画立案(~2030年)

以下に、参考までに上記の修正以前のものを添付しました。

基本方針)
さまざまなリスクに対応できる食料自給自足国家とその持続可能な社会システムを2050年までに構築し、その基盤の下にグローバル社会に貢献できる食料のサプライチェーンモデルも構築する。
(個別重点政策)
3-1 食料自給自足国家社会の拡充:農地実態調査、未耕作地集約、自治体別強化農産品目決定
1)食料品種別自給率調査及び長期自給率目標策定 (~2025年)
2)農地生産地実態調査、未耕作地等未利用地実態調査 (~2025年)
3)目標自給率実現品種・生産地域計画立案 (~2030年) 、都道府県別農産政策立案 (~2030年)、
  取り組み進捗・評価管理(2031年~)
  ※最重点品目:小麦
4)食料品危機管理システム整備構築(~2030年)
3-2 農・畜産・水産業の長期総合政策策定と持続的取り組み
1)畜産部門自給自足長期計画、振興支援計画策定、都道府県別計画策定 (~2030年) 、各進捗・評価管理
2)水産部門、遠洋・近海漁業保全計画策定、養殖分野長期計画策定 (~2030年)
3)グローバルサプライチェーン長期方針及び計画立案 (~2030年)
4)畜産物・水産物危機管理システム整備構築 (~2030年)
3-3 食品・飲料製造産業の水平・垂直統合
1)食品・飲料製造産業原材料調達・内外依存度等実態調査及び長期方針 (~2030年)
2)基礎食品・飲料指定化と自給自足可能度評価、対策立案 (~2030年)
3)都道府県別受給可能度調査及び緊急時国内サプライチェーン構築計画 (~2030年)
4)グローバルサプライチェーン長期方針及び計画立案(~2030年)

このようにして、2022年においても、他の農業関係書や、農水省等公表資料等を活用して、 <食料、農・畜産・水産業安全保障・維持開発管理 >の構成の修正や個別政策の内容のとりまとめ・改定などを進めていきます。

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